【2026年上半期】転職市場トレンド | 年収やキャリアパスも徹底解説
今期、採用ニーズが拡大している業界はどこか。年収アップを実現できる人材に求められる条件とは。アンドプロのキャリアコンサルタントが最新データをもとに、転職市場の動向を分析しました。全36業界/職種を網羅した個別レポートも併載し、求人トレンドから年収相場まで最新情報を把握できます。キャリア形成や転職の検討に、ぜひご活用ください。

「選別型売り手市場」―― 2026年上半期の転職市場トレンドが変化する理由は?
2026年上半期の転職市場は、依然として求職者よりも求人数が多い「売り手市場」が継続する見通しです。ただし、その中身は変化しており、企業は、入社後に活躍できる可能性をより重視して人材を厳選する傾向へとシフトしています。専門性の高い人材への需要は強い一方で、未経験者を中心としたポテンシャル採用には慎重な姿勢が見られるなど、人によってニーズの差が生まれています。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(職業計・パートタイム除く常用)
トレンドの背景にある「6つのキーワード」から今期の転職市場を見ていきましょう。

求人数が増加すると予測される業界、可能性のあるリスク、転職者のすべきことなどをそれぞれ解説し、「今期に重宝される人材」を読み解きます。
①地政学リスクとサプライチェーン再編でSCM人材ニーズが増加
米国の通商政策や各国間の緊張など地政学リスクの高まりを背景に、製造業を中心にサプライチェーンの見直しが進んでいます。
こうした社会的不確実性の高まりから採用に慎重な姿勢を取る企業も見られる一方、製造体制の維持・強化に向けて「SCM(サプライチェーン・マネジメント)」や「調達」分野の専門人材へのニーズは引き続き高まっています。

直近の国際取引の構造的な変化として、
- 中国向けビジネスに対する輸出規制や安全保障政策の強化
- 北米をはじめとした生産拠点の分散・再配置の動き
が挙げられます。当初の不安要因であった「関税」は、企業の計画や取引条件に一定程度織り込まれ、不確実性が薄れつつあります。一方で、輸出規制や安全保障政策、拠点分散といった構造変化は継続しており、リスク分散の動きは今後も続く見通しです。結果として、SCM・調達などの人材需要は中長期で高まりやすく、国内生産回帰に伴い、消費財メーカーで生産管理人材のニーズが高まるなどの状況にあります。

地政学リスクの影響が大きいのは、中国向けの売上比率が高い半導体製造装置や一部の精密機械メーカーです。輸出管理や市場環境の変化を背景に、採用を慎重にする動きも見られます。また、北米比率の高い自動車業界では、生産拠点の分散や地産地消の推進が進む企業と、慎重姿勢を取る企業とで温度差が生じています。
しかし、これらの産業でも工場移管や拠点立ち上げに関わるプロジェクト経験者、グローバル調達に強みを持つ人材は引き続き評価され、提示される待遇も上向きの傾向です。
他方、防衛・航空宇宙分野は、安全保障政策や予算拡大を背景に構造的な成長局面にあり、技術系人材を中心に採用は底堅く推移しています。
このように2026年上半期は、業界全体が一律に縮小する局面ではなく、「構造変化に対応できる専門性を持つ人材」が選別的に求められる市場へと移行しているのが特徴です。
積極採用が予想される職種
- SCM/物流・調達領域の専門職、SCMコンサルタント
- 防衛・航空宇宙・半導体関連の技術職
- 海外ビジネスに対応可能な法務・財務・経理
- 生産拠点移管や供給網再設計に関わるプロジェクト人材
求人縮小の可能性がある職種
- 中国向けの売上が高い半導体製造装置メーカー、素材・電子部品メーカーの一部事業
- 景気動向に左右されやすい工作機械関連分野
※ただし企業ごとの差が大きく、一律ではありません。
②人手不足でシニア/ミドル層の転職が活発化
2024年、全国の出生数は68万6,061人で70万人を初めて割り込み、1人の女性が一生に産む子供の数を示す全国の「合計特殊出生率」は1.15と過去最低になりました。同時に「2025年問題」としていわゆる団塊の世代(1947年~49年生まれ)が75歳以上の後期高齢者となり、今後長期的な人手不足が指摘されています。

- 2025年問題
「団塊の世代」が後期高齢者(75歳以上)に。大量の労働者引退が続く - 2040年問題
全人口の高齢者割合(65歳以上)が約35%になると予想される
特に専門技能を持った人材が若年層で顕著に不足していることを受け、打開策として採用する人材の年齢が高くなる傾向が見受けられます。
アンドプロの2025年の支援実績から、プラントエンジニアを含めた建設業、IT関連職種で転職を決めた方の年齢比は、40歳以上が4割を超えています。
このほか、今期は特定技能や経験を持つ人材ニーズが強い電子機械関連、ヘルスケア、エネルギー関連で専門性を有するミドル層以上の採用が活発に行われる可能性があります。

※アンドプロ調べ
ピープルマネジメント、プロジェクトマネジメント経験がある人材も業種・職種を問わず不足してくるため、強い需要があります。
即戦力思考の強い今期の転職市場では、業界未経験や経験が少ない人材の異業種転職は難易度が上がる一方、専門性やマネジメント経験がある人材は年齢にとらわれずに新たなキャリアを追求できる局面といえるでしょう。
積極採用が予想される職種
製造業(エレメカ、半導体、宇宙・防衛)、建設、不動産、IT、コンサルティン グファーム、製薬・ヘルスケア、プラント、エネルギー
③クリーンエネルギーへの転換で専門人材の重要性UP
国際的な環境負荷低減を目指す「カーボンニュートラル(脱・炭素)」は、社会全体で取り組むべき課題です。日本でも2026年4月から改正GX推進法が施行され、一定規模以上の排出量を持つ大企業に対し、「排出量取引制度(GX-ETS)」への参加が義務化されることから、各企業が専門人材の確保に力を入れています。
メーカーでは製造プロセスの抜本的な転換が急務となっており、2026年の短期トレンドとしてEVの停滞やスマートフォンのコモディティ化を背景に、車載・PC・スマホの部品に関わる採用は伸び悩む一方、電力インフラ、環境分野の技術者・プロジェクトマネージャーなど専門性の高い人材の採用ニーズは一時的なブームを超え、長期的なトレンドとなっています。

※1 出典:経済産業省「第7次エネルギー基本計画」(2025年2月閣議決定)
※2 出典:首相官邸公式サイト「 2021年1月の菅首相施政方針演説」より
※3 出典:経済産業省「鉄鋼業のカーボンニュートラルに向けた国内外の動向等について」資料 (2025年)
※4 出典:環境省「ZEBロードマップ」(2021年10月 地球温暖化対策計画)
④生成AIデータセンター関連で周辺事業の求人が拡大
国際エネルギー機関(IEA)は、生成AI運用に必要な世界のデータセンター消費電力量が2026年には日本全体の消費量に匹敵する1,000TWh超になると試算。日本国内でもデータセンターの大規模建設によりさらなる電力需要が見込まれ、今後も関連産業の求人が増加していくことが予想されます。

米国でエンジニア職求人が急減

出典:米国労働統計局 「Job Openings Professional & Business Services」
米国では22年をピークにエンジニアを含むITサービス関連の求人が急減。他職種と比較してもその数は大きい状態です。
理由①:生成AIによる開発の効率化
理由②:ポストコロナの高金利による投資縮小
2025年9月現在、日本で同様の傾向は確認されていませんが、米国のトレンドが遅れてくる場合があり、生成AIをめぐる労働環境の変化は注視しておくべきでしょう。
⑤高市政権による政策の影響は――物価高・金利上昇の影響で採用市場の二極化が進む
「積極財政」を掲げる高市早苗政権の賃上げ優遇策を背景に、市場価値の高い優秀な人材に対する企業の提示額は上昇傾向です。大企業が積極的な人材投資を継続する一方で、中小企業を中心に原材料費の上昇を価格転嫁しきれなかった企業などは、転職市場でも求職者への訴求が十分にできず苦戦する「二極化」が鮮明になりつつあります。

出典: 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
高市政権は2025年11月、日本成長戦略会議において「重点投資対象17分野」を明示。国策の恩恵を受けるこれらの領域では目下、企業の設備投資やR&Dが急加速しており、エンジニアなどの専門職を中心に採用枠の拡大と、他業界の水準を大幅に上回る年収提示が頻発しています。

※出典:内閣官房「戦略17分野における『主要な製品・技術等』」(第3回日本成長戦略会議 資料1、2026年3月10日)
政策金利の上昇トレンドを受け、好調なのは金融業界です。2025年3月期、メガバンク(MUFG/SMFG/MHFG)の連結純利益合計は前年同期比25.3%増の3兆9,263億円と、過去最高を更新。2025年に過去最高件数を記録し、活況が続くM&A市場も『事業承継』や『企業再編』といった構造的ニーズに支えられているため、緩やかな金利上昇の下では減少とならず、メガバンクなどの金融機関や専業ファームにおけるM&Aアドバイザリーの中途採用は続伸することが予想されます。
M&Aや海外展開を検討する企業では財務、経理系の人材採用も引き続き伸びそうです。スキルの高い人材を時間をかけて厳選するという路線ながらも、「売り手市場」が継続されそうです。

出典:各社決算資料より
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)公式サイト「財務情報」
三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)公式サイト「決算関連資料」
みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)公式サイト「決算・IRライブラリー」
陰りが見えそうなのはIPOブームです。24年は東証新規上場企業のうち、グロース市場上場が74.4%を占めましたが、2025年4月に上場基準の厳格化方針が決定。今後資金調達が困難になり、スタートアップ企業のIPO関連の求人は減少が予想されます。

出典:日本取引所グループ公式サイト「市場区分見直しに関するフォローアップ」
積極採用が予想される職種
金融業、M&Aアドバイザリー、上場決算経験のある経理、財務、税務人材
求人縮小の可能性がある職種
スタートアップのIPO関連職種
⑥「厳選」に採用方針転換。リテンションにも力を入れる企業が増える
アフターコロナの採用市場は凍結からの反動需要が大きく、2024年までは未経験者やポテンシャル層の採用も多く見られました。
しかし、その後戦力化への苦戦や、優秀な人材の定着が難しくなっていることを受け、企業はより資金・時間的なコストをかけ、候補者を見分ける厳選採用にシフトしています。
社内で進められているのは定着(リテンション)施策。副業解禁、健康経営、リスキリング支援など、「社員が長く働き続けられる環境づくり」は単なる福利厚生ではなく企業競争力としても捉えられるようになりました。

※1 出典:厚生労働省 労働政策審議会資料「従業員の『副業・兼業』に関するアンケート調査結果」
※2 出典:経済産業省「健康経営優良法人2024 認定発表」ニュースリリース (2024年3月)
※3 出典:経済産業省「人的資本経営に関する調査結果(概要)」(2024年)
一方、出社回帰の流れなど企業側も人材定着と生産性向上のバランスに試行錯誤しており、「働き方の条件」は転職する上でますます大きな論点となりそうです。
企業は柔軟な就業制度で魅力を高め、専門性を有する求職者は的確な自己アピールと職場選びでミスマッチを防ぐ——2026年上半期は、双方の精緻なすり合わせが転職市場を動かすシーズンとなりそうです。
2026年上半期に重宝される人材は?苦戦する人材は?
今期はアメリカの通商政策など不安定な要素はあるものの、極端な先行き不透明感は薄れたことで「様子見」が減り、企業の採用活動は実態に即した「通常モード」に戻りつつあります。トレンドは「売り手市場」が継続されるものの、シビアに人材を見極める「選別採用(厳選採用)」の傾向です。
賃上げの影響もあり、スキルや経験を持つ即戦力人材にとっては、年齢を問わず高待遇での転職チャンスといえます。
重宝される人材

今期特に重宝されるのは、自律して業務を推進できる即戦力人材です。
高い専門性が期待されるのはもちろん、単なるスキルの提供にとどまらず、異業界から新しい知見やアイデアを持ち込み、自らの考えを発信しながらリーダーシップを発揮して現場を動かせる人材が特に求められています。選考では、「なぜその企業に入り、入社後にどう貢献したいのか」という具体的なビジョンを明確に持っていることが、現在の転職市場において高く評価される鍵となるでしょう。
苦戦する人材

厳選採用方針の今期は企業の「採用したい人物像」が明確な場合が多く、「ポテンシャル採用」は減少傾向となります。
さらに選考で「変化に対応できる人材」を見極める精度が上がり、重視される場面が増えそうです。
転職は、情報収集とご自身のスキルの棚卸しが重要です。社会のニーズとご自身の専門性を正確に把握することで市場価値やキャリアの可能性に気づくことができるようになります。
「今この求人が出ている理由は何か」。企業や社会にある背景を深堀りし、ご自身が生み出せる価値を考えてみることをおすすめします。
全36業界/職種別転職市場トレンド一覧
アンドプロの各業界専門コンサルタントが業界/職種別の最新転職市場を全36本の記事にまとめました。
「転職のしやすさ」は、求人数と求職者数が同等レベルを星3とした5段階評価、「求人数」は当サービスの基準で前年との変化予想値を3段階で表しています。
IT・通信
製造業
メーカー(機械・電気)
メーカー(化学・素材)
メーカー(消費財)
建設・プラント
メディカル
ファッション・アパレル
管理部門
営業職種
自動車販売・整備
SCM
クリエイティブ系職種

製造、建設、不動産、プラント、エネルギーなどの業界で転職コンサルタントとして従事したのち、2023年より現職。
10領域以上の業界を対象とした人材紹介事業でコンサルタントをリードする。
アンドプロの 3つ の強み

業界/職種専任のプロによる納得の支援
企業の"本音"をもとにあなたの強みを見出す
未来を見据えた本質的なキャリアサポート


