組み込みエンジニアの資格おすすめ8選|難易度・取得メリットを解説
組み込みエンジニアが資格を取得するメリット
資格がなくても組み込みエンジニアの仕事はできます。しかし、資格を取得することで得られるメリットがあります。
組み込みエンジニアが資格を取得するメリットとは、「能力・スキルの客観的証明になる」「自己研鑽の姿勢をアピールできる」「知識・技術を体系的に整理できる」の3つです。

能力・スキルの客観的証明になる
組み込みエンジニアにとって資格とは、「組み込みエンジニアとしての能力・スキル」が一定のレベルに達していることを客観的に証明するものです。
国家資格・民間資格に限らず、実務経験を通じて得られた能力・スキルについて「客観的な評価」というメリットを得ることができます。
自己研鑽の姿勢をアピールできる
組み込みエンジニアにとって、資格の取得は「学習意欲の高さ」「自己研鑽の姿勢」を証明してくれるものです。
組み込みエンジニアに限らず、エンジニア職は継続的な勉強が欠かせない職種です。転職時には、自主的に学んで資格を取得したというプロセス自体が評価対象となる傾向にあります。
知識を体系的に整理できる
組み込みエンジニアが資格を取得することで、知識を体系的に整理できたり、正しく学び直しができるというメリットがあります。
独学や、日々の業務だけで身につけた知識は偏りがちになるもの。資格取得を通じて体系的な知識・技術を身につけると、「自分のキャリアは他社で通じるのだろうか」という不安もぐっと減ります。

コンサルタント
近藤
組み込みエンジニアが情報処理技術者資格を取得していると、取得に向けて努力した自己研鑽の姿勢も含め、応募企業が好印象を持ってくれる可能性があります。
組み込みエンジニアが知識・技術を高められる資格

組み込みエンジニア向けの資格は国家資格、民間資格(ベンダー資格)が複数あり、どの資格を狙えばいいのか迷われる方も多いのではないでしょうか。
本章では、それぞれの資格の対象者、試験の内容や難易度などをわかりやすく解説していきます。
組み込みエンジニア向け資格リスト
基本情報技術者試験(EF) | 資格の種類:国家資格 |
応用情報技術者試験(AP) | 資格の種類:国家資格 |
エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | 資格の種類:国家資格 |
OCRES(OMG認定組込み技術者資格試験) | 資格の種類:民間資格 |
ETEC(組込みソフトウェア技術者試験クラス2・クラス1) | 資格の種類:民間資格 |
JSTQB認定テスト技術者資格(Foundation Level・Advanced Level) | 資格の種類:民間資格 |
LPIC・LinuC | 資格の種類:民間資格 |
基本情報技術者試験(FE)
基本情報技術者試験(FE)は、「ITエンジニアの基礎資格」と呼ばれる国家資格です。ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、データベース、アルゴリズム、セキュリティ、マネジメントにいたるまで、ITの全般的な基礎知識が網羅されています。
基本情報技術者試験で証明される知識や能力
基本情報技術者試験は、組み込みエンジニアの登竜門の資格として、ITエンジニアの基礎知識、論理的な思考能力を身につけることができます。
基本情報技術者試験についての内容は、オフィシャルサイト(下記)にくわしく掲載されています。
基本情報技術者試験の対象者、合格率、難易度
基本情報技術者試験は、ITスキル標準(ITSS)ではレベル2(上位者の指導のもとで要求された作業を担当する)に相当し、他職種から組み込みエンジニアへの転職を目指す方や、実務1〜2年目の若手エンジニアに向いています。
合格率は38.3%(令和7年度。IPAの公式発表より)。令和5年度から合格率はやや下がってきているものの(令和5年度は47.1%、令和6年度は40.8%)難易度も高くなく、挑戦しやすい資格と言えるでしょう。
応用情報技術者試験(AP)
応用情報技術者試験(AP)は、基本情報技術者の上位に位置する国家資格です。技術的な内容がより深くなるだけでなく、システムアーキテクチャ、プロジェクトマネジメント、経営戦略など、ITを活用したビジネス視点の出題が増えます。
応用情報技術者試験で証明される知識や能力
応用情報技術者の資格を取得することで、コーダー(実装者)から、チームを率いるリーダーや上流工程のITアーキテクトといった上級エンジニアへ昇格するための能力を証明できます。
応用情報技術者試験についての内容は、オフィシャルサイト(下記)にくわしく掲載されています。
応用情報技術者試験の対象者、合格率、難易度
公式サイトによると、応用情報技術者試験の対象者は、「高度IT人材としての方向性を確立した者」となっており、おおむね実務3〜5年目の中堅エンジニアが対象の試験です。
合格率は22.1%(令和7年度春期。IPAの公式発表より)と難易度は高めです。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)
エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)は、組み込み分野における最高峰の国家資格です。経済産業省が所管する国家試験「情報処理技術者試験」のスキルレベル4(最難関)に位置づけられています。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験で証明される知識や能力
エンベデッドシステムスペシャリスト資格を持っていると、「組み込みにおける高度な専門知識と設計能力を有するトップクラスのエンジニア」の証明となるため、組み込みエンジニアとしての市場価値を高めることにつながる資格です。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験についての内容は、オフィシャルサイト(下記)にくわしく掲載されています。
(参考)独立行政法人情報処理推進機構「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」
エンベデッドシステムスペシャリスト試験の対象者、合格率、難易度
エンベデッドシステムスペシャリスト試験の対象者は、「高度IT人材として確立した専門分野をもち、組込みシステムの設計・構築・製造を主導的に行う者」となっています。目安としては、実務経験10年以上で上流工程やPMを担当する中堅から上級者エンジニア向けの試験です。
合格率は16.9%(令和6年度。IPA公式サイトより)で、難易度が非常に高い試験です。
OCRES(OMG認定組込み技術者資格試験)
OCRESは、オブジェクト指向技術の国際標準化団体であるOMGが実施する、世界共通の認定試験です。OCRESの読み方は「オークレス」、正式名称は「OMG認定組込み技術者資格試験」です。世界130カ国で実施されており、日本でも2007年から始まりました。
OCRESで証明される知識や能力
OCRESは、世界標準のモデリング言語(UML、BPMBPM、MBSE&SysML)の知識と活用レベルを認定する資格です。OCRESはグローバルな設計スキルを持つエンジニアの証明として、外資系企業への転職や、グローバル規模の開発プロジェクトへの参画、自動車業界などの大規模なプラットフォーム開発を目指す際に役立ちます。
OCRESの対象者、合格率、難易度
OCRESは対象者別に「ファンダメンタル(初級)」「インターメディエイト(中級)」「アドバンスト(上級)」の3つのレベルにわかれています。
各レベルの試験対象者は以下のとおりです。
ファンダメンタル(初級) | 組み込みシステムの開発に携わるシステムエンジニア |
インターメディエイト(中級) | プロジェクト内の小規模チームのリーダーを目指す中堅エンジニア |
アドバンス(上級) | システム全体の設計・構築・製造を主導する上級者、アーキテクト |
OCRESの合格率は非公開となっており、具体的な数字はわかりません。試験のための勉強時間が100~200時間程度(アンドプロ調べ)であることから、難易度に換算すると「やや難しい~難しい」レベルと推測することができます。
ETEC(組込み技術者試験制度)
ETECは、一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)が開発・運営している、組み込みエンジニア向けの民間資格です。ETECの読み方は「イーテック」、正式名称は「組込み技術者試験制度」です。
ETECで証明される知識や能力
ETECは、大手製造業などで社内研修の評価指標としても導入されており(JASAのアンケートより)、組み込みに関する実践的な知識を証明しやすい資格です。
ETECの試験は「クラス2(初級)」と「クラス1(中級)」の2種類があります。各試験で証明される知識・能力は次の通りです。
組込みソフトウェア技術者試験クラス2 |
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組込みソフトウェア技術者試験クラス1 |
|
出典:一般社団法人組込みシステム技術業界『ETEC(組込み技術者試験制度)』より
ETECの対象者、合格率、難易度
ETECは組み込み技術の理解度、活用運用能力を客観的に評価する試験のため、結果は合否ではなく800点を満点とするスコア(レベル2のみ)と3段階のグレードで表されます。
資格の対象者は下記の通りです。
組込みソフトウェア技術者試験クラス2 | ・大学・専門学校の組込みソフトウェア教育を受けている学生、卒業生 |
組込みソフトウェア技術者試験クラス1 | ETEC組込みソフトウェア技術者試験クラス2で「500点」以上のスコアを取得した中級技術者 |
出典:一般社団法人組込みシステム技術業界『ETEC(組込み技術者試験制度)』より
JSTQB認定テスト技術者資格
JSTQB認定テスト技術者資格は、ソフトウェアテストの国際的な資格認定機関であるISTQBの加盟団体JSTQBが認定する民間資格です。
JSTQB認定テスト技術者資格で証明される知識や能力
JSTQB認定テスト技術者資格の試験は、次のようなレベルにわかれて実施されています。
Foundation Level(基礎レベル) | ソフトウェアテストの基礎的な知識や用語を問う基礎レベル |
Core Advanced Level(上級レベル) | より専門的で高度な知識と実践力が問われる上位レベル。 さらに「テストマネジメント」と「テストアナリスト」にわかれる |
JSTQB認定テスト技術者資格を取得することで、日本国内だけでなく世界中で通用するテスト技術者としての能力があるという評価を得られます。
JSTQB認定テスト技術者資格の対象者、合格率、難易度
JSTQB認定テスト技術者資格の対象者は次の通りです。
Foundation Level(基礎レベル) | ソフトウェアテストについて基本的な理解を望む方 |
Advanced Level(上級レベル) | テスト設計、マネジメントなどを実践的にリードする実務経験者 |
JSTQB認定テスト技術者資格の受験要件は、Foundation Levelに関しては「システムテストやユーザー受け入れテストなどのテスト担当、もしくはソフトウェア開発担当など、最低6カ月程度、技術者としての経歴があること」、Advanced Levelの試験を受ける条件として、Foundation Levelに合格している必要があり、なおかつ実務経験が3年以上あることが必要です。
JSTQB認定テスト技術者資格試験の合格率は次の通りです。
試験区分 | 平均合格率 |
Foundation Level | 69.8% |
Advanced Level(テストマネージャ) | 39.3% |
Advanced Level(テストアナリスト) | 39.7% |
※平均合格率は日本科学技術連盟『試験実施結果』より
Foundation Levelの平均合格率は70%程度と比較的難易度が低めである一方、Advanced Level(テストマネージャ、テストアナリストとも)の平均合格率は40%前後と、専門性が高まる分、難易度は高めの試験になっています。
LinuC / LPIC
IoT化やAIの発展で、組み込みLinuxを採用する機器(スマート家電、自動車、産業機器など)が激増しています。LinuC・LPICは、どちらも組み込みエンジニアがLinux技術の専門性を証明できる民間資格です。
LinuCとLPICには下記のような違いがあります。
資格名 | 特徴 |
LinuC (リナック) | 主催団体:LPI-JAPAN 特色:日本の市場ニーズにより合うように作られた国内向けの資格。国内企業からの評価が高い |
LPIC (エルピック) | 主催団体:LPI 特色:世界共通の認定資格。グローバル基準で評価されるため海外の案件や外資系企業で有利 |
LinuCとLPICのどちらを取得すればいいのか迷う場合は、国内企業での就業・転職を目指す場合はLinuC、グローバルな企業を視野に入れている場合はLPIC、と覚えておくといいでしょう。
LinuC/ LPICで証明される知識・能力
LinuCとLPICは、どちらもLinux技術者としての専門性の高さを証明する資格です。Linuxの基本コマンドやシステム管理、ネットワーク設定を学ぶことで、OS層からアプリケーション層まで扱えるエンジニアになれます。
LinuCとLPICは、レベルごとに試験がわかれています。LinuCは4段階、LPICは3段階あり、各レベルで求められるスキルと知識が定義されています。
Linuxの技術を高めたいエンジニアは、レベル1からステップアップしながら知識と技術を身につけ、上位のレベルを目指していきます。
試験のくわしい内容は、それぞれの公式サイトをご参照ください。
(参考)LinuC公式サイト、LPIC公式サイト
LinuC / LPICの対象者、合格率、難易度
LinuC、LPICの対象者はレベルごとに異なります。LinuCは公式サイトにおいて各レベルで求められるスキルを明記していますのでご紹介しましょう。
レベル(LinuC / ITSS) | 求められるスキルの目安 |
レベル1 | IT企業における実務未経験者や新入社員 |
レベル2 | 上位者の指導の下で、要求された作業を担当する |
レベル3 | 要求された作業を全て独力で遂行できる |
レベル4 | スキルの専門分野が確立し、独力で業務上の課題の発見と解決をリードできる |
※アンドプロ調べ
※LinuCのレベルについてはLinuC公式サイト『Linux技術者認定LinuC(リナック)とは』を参照
※ITSSのレベル、スキルについては情報処理推進機構『2.ITスキル標準とは -ものさしとしてのスキル標準』を参照
LinuC、LPICの合格率は非公開のためわかりません。難易度については、LinuCは公式サイトに各レベルについての必要な勉強時間の目安を掲載していますので、そちらを参考にすると良いでしょう。
レベル | 勉強期間の目安(初めて受験される方の場合) |
レベル1 | 1ヵ月~3ヵ月 |
レベル2 | 3ヵ月~半年 |
レベル3 | 半年~1年 |
レベル4 | 半年~1年 |
※Linuc公式サイト『LinuCで証明できるレベル』より
組み込みエンジニアに求められる必須スキル
組み込みエンジニアに必要なスキル(コアスキル)は、「C言語およびC++」「コミュニケーション能力」「上流工程・マネジメントの経験」です。
組み込みエンジニアにとって、これらのスキルは資格以上に年収アップやキャリアアップにかかわってきます。

コンサルタント
近藤
転職の際はこのスキルを使っての実務経験の有無や経験年数が重要になってきます。

C言語およびC++
組み込みエンジニアにとって、開発言語として広く使われているC言語およびC++は必須スキルです。
また近年では、AIの組み込みやIoT、テストの自動化に活用されているPythonの需要も増えています。
コミュニケーション能力
組み込みエンジニアの必須スキルに、コミュニケーション能力があります。
製品開発において、他職種(電気・機械系エンジニアなど)との調整や折衝が必要なため、コミュニケーション能力も組み込みエンジニアの必須スキルです。ときには非エンジニアに対して、専門用語をわかりやすい言葉に置き換えながら、進捗や課題を伝えることもあります。

コンサルタント
近藤
組み込みエンジニアにとって折衝力、調整力、言語化能力などのコミュニケーション能力は、プログラミング言語とあわせて基礎的かつ不可欠なスキルといっていいでしょう。
上流工程・マネジメントの経験
特に30代半ば以降の組み込みエンジニアには、上流工程やマネジメント経験は必須スキルです。下流工程の経験のみだと評価を得にくいため、社内での昇進や年収アップを狙いにくくなります。
年収が高く人気のある自動車(完成車)や航空・防衛分野では、上流工程を担当するため、転職でその分野に進む際は、上流工程の経験は不可欠です。
英語は組み込みエンジニアの必須スキルではありませんが、転職市場では歓迎要件です。仕様書は英語で書かれていることが多いですし、グローバル展開する企業では、海外の拠点やチップベンダーとのやり取りが発生するため、英語ができる組み込みエンジニアは重宝されます。
まとめ
本記事では、組み込みエンジニアにおすすめの資格をご紹介しました。ご興味を持たれた資格はあったでしょうか。
資格によって年収をアップできるか、転職で有利になるかも気になりますが、それ以上に重要なのは、資格取得の勉強を通じて組み込みエンジニアとしての技術・知識を高めることです。
組み込みエンジニアは製造業界にとってますます重要な職種となります。そのため、必要なスキルを身につけながら実務経験を積み、資格によって得られた客観的な評価をすべてかけあわせていくことが、組み込みエンジニアとしての市場価値を上げることに繋がります。
アンドプロのコンサルタントは、組み込みエンジニアとしての市場価値を最大に高める方法や人気業界への転職ノウハウを熟知しています。組み込みエンジニアとして活躍し続けるためのパートナーに、ぜひアンドプロをご利用ください。

メーカー(機械・電気)専門のコンサルタント。組み込みエンジニアや機械系、電気系エンジニアをはじめ、営業職や物流・購買部門まで幅広い職種で転職支援を手掛けており、これまでのご支援人数は300名以上。2023年度、社内準MVP受賞。




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