
製鉄所は「街まるごと」土木のフィールドだった。全国転勤から一転、家族との時間を大切にできる環境への転職
「工場の中に、土木の仕事がそんなにたくさんあるものなのか?」――転職のとき抱いたその疑問が、いまの仕事の原点だとJFEシビル株式会社のHさんは語ります。前職は公共工事を手がける建設会社。全国を転々とする毎日でしたが、家族と過ごす時間を求め、川崎・京浜の製鉄所を支える鉄鋼土建事業部へ転職しました。海底トンネルから橋梁、港湾まで――入社して知った構内の土木の広がりと、転職によって大きく変わった自身の働き方やライフスタイルについて語っていただきました。
Hさん
鉄鋼土建事業部 京浜事業所 土木グループ 課長
大学卒業後、ゼネコンで公共工事(道路・港湾など)の施工管理を担当し、全国各地の現場を経験。2019年11月、JFEシビル株式会社へキャリア採用入社。京浜事業所(川崎)でJFEスチール構内の保全・建設工事の施工管理を担い、係長から課長代理を経て課長に昇進。
「子どもと過ごす時間を増やしたい」――全国転勤の日々に決めた転職
Q:前職でのご経験と、転職を考えられた際に最も大切にされていた軸を教えてください
Hさん:前職は建設会社で公共工事——土工事、舗装、港湾の護岸工事などの施工管理を手がけていて、現場ごとに全国を転々とする転勤族でした。仕事は充実していましたが、単身赴任となって家族の時間が取れない。家族・子どもと接する時間を増やしたい——それを軸に転職を考えました。当時は36歳で初めての転職でした。
Q:数ある選択肢の中で、JFEシビルへの「入社の決め手」は何でしたか?
Hさん:もともと製鉄所を狙っていたわけではなかったんです。転職活動をするなかでアンドプロさんから「Hさんの経歴が活きて、腰を据えて働けますよ」とJFEスチールの製鉄所の保全を担う当社の「鉄鋼土建事業部」を紹介されたんです。製鉄所の中に土木という分野があるのはわかる。でも、「土木としてやる工種が、そんなにたくさんあるものなのか?」——そもそもあの広大な製鉄所の中に何があるんだろうか?その興味がきっかけであり、最終的に決め手にもなりました。

東京ドーム約85個分に相当する約400ヘクタールの広大な敷地を有する、JFEスチール東日本製鉄所・京浜地区(JFEシビル株式会社提供)
――その疑問が解消された時、転職の決め手にもなったんですね。「製鉄所と土木の結びつき」は、どこで腑に落ちたのですか?
Hさん:面接選考の中で、土木グループ長と話す機会がありました。製鉄所というと「お堅い」イメージもあったのですが、お話ししてみるとまったくそんなことはなく、いい意味でのギャップを感じましたね。非常に広大な敷地の中でさまざまな種類のインフラを維持管理すると説明を受け、「自分の経験も通用するんだな」と。全国にいくつか製鉄所がありますが、基本的には一つの事業所で腰を据えた働き方ができる、ということもよくわかりました。そこで腑に落ち、志望度も高まりました。
内定をいただいて家族に報告したときには、「転勤がなくなるね、家族の時間が増えるね」と言ってくれて。その言葉を聞けたときは、転職を選んで本当に良かったなと心から思いました。
海底トンネルに、橋梁、港湾――「ここまであるか」と驚いた構内の土木
Q:入社前のイメージと、実際に働いてみて感じたギャップはありましたか?
Hさん:前職ではいろいろな現場を経験しましたし、事前に少し様子を聞いていたこともあってイメージはできていたつもりでした。それでも、そのフィールドの広さには驚きましたね。護岸工事があり、線路があり……経験したことのないものだらけでした。製鉄所内の生活道路や橋梁はもちろん、川崎に関しては海底トンネルに至るまであり……まるで街のようなんです。今まで全国各地で幅広くやってきたのに、この京浜工業地帯の一角には「ここまであるのか」と想像できなかったくらいの土木の世界が広がっていたんです。

――初めての転職だったとのことでしたが、不安は入社後に解消されましたか?
Hさん:転職後に「スキルが向上するのか」という不安がつきものじゃないですか。それがなくなりましたね。いろんな工種に携われるんだな、と。
施工管理そのものは身についているものが活かせたので、覚えるべきは調整の仕方と、工場の名前や場所。構内は調整が非常に多いんです。どこの部署と話せばいいかも先輩に聞いて、だんだん覚えていく。恐れずに聞くことが大事ですね。当時から中途社員が多く、今では4割ぐらいが転職組。聞きやすい環境でしたし、入社してからある程度の期間は先輩が現場について教えていただきながら無理なく馴染むことができました。
調査も、計画も――発注者業務で広がった視野
Q:JFEスチールと協働しながら、発注者側の調査・計画業務も受託されると伺いました
Hさん:親会社にあたるJFEスチールは「お施主」ですが、シビルは決められた内容を受けるだけではなく、建設工事なら設計内容など上流の議論まで一緒にやります。
調査・計画は、工場の一部を調査して劣化具合を診断し、補修計画を立案する仕事です。公共工事では、調査も計画も終わった段階で施工に渡されるので、普通の建設会社ではなかなか経験できない内容だと思います。だいぶ視野が広がった実感がありますね。
それに今、鉄鋼業界は脱炭素化に向けた構造改革をはじめとした変化の時期です。例えば京浜では高炉および上工程休止(※)に伴う、構造改革に関連する工事があります。私はもともと新設の大きな案件をやってきたので、今は建設案件をメインに任せてもらっています。生産を止めない保全のやりがいに加えて、大型案件に挑戦できるやりがいもあるんです。
※JFEスチールは脱炭素化・構造改革の一環として、2023年9月に京浜地区の高炉を休止。それに伴う設備解体や跡地利用、新設備建設などの大規模な関連工事が発生している。

「そのやり方、いいね」――前職の経験が活きた、桟橋撤去の提案
Q:中途入社後、ご自身の提案で現場を良くできたと実感した場面はありますか?
Hさん:海に面した桟橋を撤去する工事で、部材が海に落ちないよう養生するため、前職での経験を活かして張り出しの仮設架台を作って、その上に足場を立てる方法を提案したことがあります。グループ長にも、最終的にはスチールさんにも話をして、安全面のアドバイスをもらいながらでしたが、すんなり採用してもらえました。「そのやり方いいね」という言葉ももらえて、達成感のあった現場です。前職のやり方も全然活かせる、風通しの良い環境だと思います。
――中途入社後に課長へと昇格されています。中途・新卒にかかわらずフラットに評価されると感じますか?
Hさん:実は私自身はあまり野心がなくて、上がりたいと思ったことはないんです(笑)。ただ、誠意を持って一生懸命やれば、ちゃんと評価してもらえるのかなと。もともとが仕事人間なので、それがうまく評価されたのかなと思います。
今は逆に評価する立場にもなったのですがコミュニケーションがうまい方は、何をやってもうまいなと思います。否定ではなく肯定的に話を進めて、まず相手の話を飲み込む。スチールさんも工場の方もいらっしゃって、調整が非常に多い仕事なので、協調性とコミュニケーション能力がある人は、腰を据えて働けると思います。

2026年3月に移転した本社オフィス。開放的な空間のオープンスペース
朝は子どもの旗振り当番から出社――施工管理でも使えるフレックス
Q:全国転勤されていた頃と比べて、働き方はどう変わりましたか?
Hさん:前職では基本的に宿舎暮らしで、時間のほとんどを仕事に使っていました。今は規定時間で帰れますし、仕事と生活のバランスがすごく取りやすくなりました。基本は週休2日。工場が操業していない土日にしかできない工事もありますが、土曜に出れば平日に代休を取る。グループ内で調整もできますし、休みのルーティンはしっかり回っています。
実は朝スーパーフレックスタイム制度(※)を使って、子どもの登校の旗振り当番をしているんです。7時50分から8時15分まで旗を振って、それから出社する。子どもの行事にも行きやすいし、本当にありがたい制度です。
※2026年4月よりコアタイムを廃止。月間の所定労働時間を満たせば、出退勤時間を自由に設定できる。
――「フレックスはあっても、施工管理は使えない」という状況も聞きますが、なぜ御社では機能しているのでしょう?
Hさん:うちは1人で現場を抱えるのではなく、グループで現場に携わる体制なんです。私の土木グループは十数名。1人だけがわかっているのではなく、意外とみんながわかっていて、「代わりにやれるよ」という人が多い。少数精鋭で回す事が多い従来の現場では難しいことが、協力し合えるから、フレックスも休みも取りやすいんです。
――現在の土木グループのチームの雰囲気はいかがですか?
Hさん:グループの平均年齢が10年ほど前と比較して10歳ぐらい若返って30代・40代を中心にとても活気があります。
特にここ2〜3年で65歳を超えるベテランの方たちが退職されたため、その分、新しい世代への技術継承にはすごく力を入れているんです。かつて先輩方に教わった調整の仕方や、工場特有の施工——たとえば扇島は地下水位が高くて、水処理がすごく難しいといったノウハウ——を、今度は私たちが次世代に伝えています。建築士や1級施工管理技士など資格取得の費用を一部負担してもらえる支援制度も活用しながら、チームみんなでスキルアップを目指していける、とても良い雰囲気だと思います。

「転職したくない人間」だった私が、今思うこと
Q:最後に、転職を迷っている方へ、同じ中途入社の立場からメッセージをお願いします
Hさん:私もどちらかというと「転職はしたくない」と考えている人間でした。違う畑でコミュニケーションが取れるのか、スキルが通用するのか——。不安を抱えながら一歩を踏み出したんです。結果としてはむしろ経験できる工種が広がり、家族の時間も十分に確保できました。
もちろん新しく覚えることはたくさんありますが、当社は中途入社の人に対して「一緒に覚えていこうよ」とみんなでサポートするスタンスです。引け目を感じずに、どんどん前へ進んでいけば活躍していただける環境だと思っています。
私自身もJFEシビルへの転職を「間違っていない決断だった」と今、心から言うことができます。新しいフィールドに挑戦したいという方と、一緒に働けるのを楽しみにしています。
文・撮影:酒井 悠一(アンドプロ編集部)
JFEシビル株式会社 関連情報
JFEグループ基準の手厚い手当・生活支援
住宅手当(月額40,000〜55,000円)や食事手当をはじめ、JFEスチールと同水準の福利厚生を完備。現場手当や現場勤務時の宿舎費用全額負担など、施工管理が安心して働ける経済的なサポートが充実している。
家族を大切にできる働き方とライフイベント支援
スーパーフレックス制度や在宅勤務を活用し、柔軟な働き方が可能。育児休業や時短勤務制度が整備されているほか、結婚祝金や出産祝金(1人につき10万円)など、社員のライフステージに応じた手厚い支援がある。
健康維持とスキルアップを支える制度
JFE健康保険組合の全国の保養所を利用できるほか、40歳・50歳でのリフレッシュ旅行制度を用意。また、1級施工管理技士などの資格取得に向けた受講費用の補助や早期合格祝い金の支給など、キャリアアップも全面的にバックアップしている。
Q:ご自身のキャリアの希望に対して、担当者からの提案やサポートはいかがでしたか?
担当の方が、前職の経験との適性を見て「合っていますよ」と紹介してくれたのが当社でした。自分では「製鉄所の中の土木」という選択肢は思いつきもしなかった。視野の外にあった仕事に出会わせてもらえたのが、一番のサポートだったと思います。
Q:選考を進めるなかで、特に役立ったサポートはありますか?
年収交渉、入社時期および残業や出張に関する勤務条件を事前に調整して頂けたこと。
Q:これから転職活動をされる方へ、転職エージェント(アンドプロ)を活用する際のアドバイスはありますか?
希望条件(「週休2日制(土日祝)」「転勤なし」など)を明確に伝えて、数社でも面接を受けて希望に沿った会社を選考してもらいましょう。
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