
【建設業】転職時の平均決定年収額は+64.0万円の640.1万円で2年連続の増加
建設需要が堅調に推移する一方、高齢化や残業規制の適用などから深刻な人手不足が続く建設業界ですが、業界全体で働き方改革や待遇改善を推進しています。
そこで、2023年度〜2025年度の3年間にアンドプロのサービスを利用して転職決定した建設業従事者のデータをもとに、年代別・職種別の転職時の決定年収額などを分析、転職時の年収変動の実態を調査しました。
- 【全体】転職時の平均決定年収は、3年間で64.0万円増えて640.1万円に。転職で年収が増えた人は2年連続で5割超に【図1、図3】
- 【年代別】20代:転職時の年収アップ額は3年連続で平均80万円超【図6】。30代〜50代まで、いずれの世代も5割超が転職時に年収アップを実現。年収アップ額の平均は100万円を超える結果に【図7〜図12】
- 【施工管理】転職後の平均年収ランキング1位は、設備施工管理で715.2万円。業種別ではゼネコンが695.5万円で1位【図15、16】
- 【建築士(設計職)】転職後の平均年収ランキング1位は、設計監理で810.5万円。業種別の1位はゼネコンで820.9万円【図18、19】
【全体】転職者の54.0%が年収アップ、平均決定年収は3年間で61.4万円増
【図1】転職時の平均決定年収の推移

転職時の平均決定年収は640.1万円(2025年度)と、2023年度からの3年間で64.0万円上昇したことがわかりました【図1】。
特に、2024年度は前年度比+51.5万円と大幅に増加、2025年度も前年度比+12.5万円と増加傾向を維持しています。
深刻な人手不足と残業規制の適用(2024年問題)を背景に、業界全体で労働条件の改善や、転職時における提示年収の引き上げが続いていることがわかりました。
20代〜60代まですべての年代で平均決定年収額が増加
【図2】年代別:転職時の平均決定年収額の推移

転職時の平均決定年収額を年代別に見ると、20代から60代以上のすべての年代において、2024年度、2025年度と2年連続で増加しています【図2】。
若手からベテラン層まで幅広い年代において待遇改善が進み、企業が強い採用意欲を持っていることがうかがえます。
40代は2年連続で50万円以上の伸びに
決定年収額の伸び幅が最も顕著だったのが40代です(2023年度:601.5万円、2024年度:662.5万円、2025年度:712.9万円)。2024年度は前年度比で+61.0万円、2025年度は+50.4万円と2年連続で50万円以上の伸びとなり、3年間で111.4万円増に達しました。
若手層の不足に加えて、高齢化による人口流出が進むなか、現場を回していくために、企業の中核を担うミドル世代の需要が高まっていることがうかがえます。
転職で年収が増えた人は、2年連続で5割を超える
【図3】転職前後の年収変化の推移

2023年度は、転職で年収が増えた人は45.1%にとどまっていましたが、残業規制が適用された2024年度以降、2年連続で5割超(2024年度:54.1%、2025年度:54.0%)となりました【図3】。
業界全体で待遇改善が進んでいることはもちろん、残業規制を機に、残業代が削減されても年収を維持できるよう多くの企業が基本給の見直し(ベースアップ)を進めていることが背景にあると考えられます。
一方で、2024年度以降も約44%の転職者が「年収ダウン」を選択していますが、これは「働き方の改善」や「キャリアの構築」を目的に、年収ダウンを受け入れてでも転職を決断する層が存在することを示しています。
(参考)年収ダウンを選択した人の転職理由
【働き方の改善・将来への不安】
土日関係なく稼働しており、突発的な深夜対応も多いため、働き方を改善したい(施工管理 40代 男性)
深夜まで働くことが当たり前、美徳になっている。家族も働き方を心配しており、改善したい(CADオペレーター 20代 女性)
今後の案件受注が見込めておらず、下請け企業への支払いが止まってしまい工事が進まないこともあった。会社の将来が不安(施工管理 40代 男性)
【キャリア構築・やりがいのため】
リフォーム設計を担当しているが、部分的な設計ばかりでキャリアを築けないため、新築設計に挑戦したい(設計職 20代 男性)
50代、60代になっても求められる人材になるため、自分の技術をさらに磨ける環境で働きたい(建設コンサルタント 20代 男性)
60歳で年収が大幅に下がる。現職ではやりきった感覚があるので、定年を機に経験したことがない業務に挑戦したい(施工管理 50代 男性)
年収アップ額は平均で110万円、2年連続で上昇
【図4】転職時の年収上昇額の推移

転職で年収が増えた人を対象に、転職時の年収上昇額(転職でいくら年収がアップしたか)を調査したところ、2025年度は平均で+110万円という結果になりました【図4】。
2023年度の+95.3万円から2年連続で増加しており、3年間の平均上昇額は102.4万円となっています。
また、転職前の平均年収は2年連続で増加しており、業界全体で賃上げ、高待遇提示の波が年々強まっていることがわかる結果といえるでしょう。
【20代】転職時の年収アップ額は3年連続で平均80万円超
【図5】20代:転職前後の年収変化の推移

【図6】20代:転職時の年収上昇額の推移

転職前、転職後の平均年収はどちらも増加
20代の転職決定者のうち、転職によって年収が増えた人の割合は、2023年度が60.0%、2024年度が56.9%、2025年度は54.3%と、3年連続で全世代の平均(2023年度:45.1%、2024年度:54.1%、2025年度:54.0%)を超える結果となりました【図5】。
また、転職時に年収が増えた人を対象に平均年収上昇額を調べたところ、3年連続で80万円を超える結果となりました【図6】。転職前の平均年収、転職後の平均年収は、どちらも2年連続で増加しています。
業界全体で若手不足が深刻化するなか、初任給改定や若手社員の賃上げが進んでいるだけでなく、前職を上回る年収を提示して若手を採用している企業側の動きがうかがえます。
【30代】転職時の年収アップ額は平均104.8万円に
【図7】30代:転職前後の年収変化の推移

【図8】30代:転職時の年収上昇額の推移

23年度、24年度も高水準で年収アップ
30代の転職決定者のうち、転職で年収が増えた人の割合は、20代と同じく3年連続で全世代の平均を超えました【図7】。
また、転職時の平均年収上昇額は、2023年度が+93.3万円、2024年度が+86.6万円と高い水準で推移しており、2025年度には+104.8万円という結果になりました【図8】。
経験を積んで実務能力が備わるだけでなく、有資格者も増える30代は、転職市場での引き合いが強く、年収アップを実現しやすい年代といえるでしょう。
【40代】転職時の年収アップ額は2年連続で平均100万円超
【図9】40代:転職前後の年収変化の推移

【図10】40代:転職時の年収上昇額の推移

転職後の平均年収は750万円超で2年連続の増加
40代の転職決定者のうち、転職で年収が増えた人の割合は、2023年度(57.4%)と2025年度(57.8%)で6割近くになりました【図9】。
また、転職により年収が増えた人の平均年収上昇額は、2024年度から2年連続で100万円以上となりました。転職後の平均年収は2年連続で増加し、2023年度の621.0万円から2025年度には754.7万円と大きく伸びています【図10】。
現場のマネジメントや代理人業務を担える40代は、即戦力人材として高い需要があることが、数字にも表れる結果となっています。
【50代】転職時の年収アップ額は3年連続で100万円超
【図11】50代:転職前後の年収変化の推移

【図12】50代:転職時の年収上昇額の推移

転職後の平均年収は約780万円に
50代については、2024年度(58.9%)、2025年度(53.6%)と2年連続で5割以上の人が転職で年収が増えました【図11】。
また、転職により年収が増えた人の転職後の平均年収は、全世代のうち最も高い水準(2025年度:779.7万円)となっており、転職時の年収上昇額の平均は3年連続で100万円超となりました【図12】。
50代は現場所長や部課長といった役職に就く場合も多く、平均年収の水準が高いだけでなく、転職による年収上昇額も大きくなっています。
【60代以上】転職時の年収アップ額が154.7万円と全世代で最も高い結果に
【図13】60代以上:転職前後の年収変化の推移

【図14】60代以上:転職時の年収上昇額の推移

定年で落ち込んだ年収を転職で戻すケースも
60代以上は、全世代のなかで転職で年収が増えた人の割合が最も低いものの、その割合は上昇(2023年度:30.2%、2024年度:38.2%)しており、2025年度は49.5%と半数近くが転職で年収をアップさせています【図13】。
また、2024年度(+126.7万円)、2025年度(+154.8万円)と2年連続で、転職で年収が増えた人の平均年収上昇額が、全世代で最も高い結果となりました【図14】。
定年退職や役職定年により、年収が一度落ち込む傾向にありますが、人手不足に悩む企業が高待遇で採用するケースがあるため、転職時の年収上昇額が引き上げられているものと考えられます。
【施工管理】転職後の平均年収ランキング(職種別/業種別)
【職種別】1位は715.2万円の設備施工管理で平均81.3万円増
【図15】職種別:転職後の平均年収ランキング(2025年度)

転職で年収が増えた施工管理を対象に、職種別に転職後の平均年収を調べたところ、1位は設備施工管理で715.2万円でした【図15】。また、転職前の平均年収も633.9万円と全職種中で最も高い結果となりました。
昨今のAI需要に伴うデータセンターの建設ラッシュや省エネ性能の標準化など、設備工事ニーズの高まりが、設備施工管理の年収を押し上げていると考えられます。
年収アップ額、1位は+147.9万円の電気通信施工管理
また、1位と同じ設備系の職種である電気通信施工管理は、平均年収上昇額が全職種中で1位の147.9万円となりました。
なお、施工管理のすべての職種で、転職時の平均年収上昇額は80〜150万円と高い水準になっており、市場価値の高さを裏付ける結果となりました。
【業種別】1位はゼネコンで695.5万円、平均102.6万円増
【図16】業種別:転職後の平均年収ランキング(2025年度)

転職で年収が増えた施工管理を対象に、業種別に転職後の平均年収を調べたところ、ゼネコンの695.5万円が全業種中でトップでした【図16】。ゼネコンは、転職前の平均年収でも592.2万円と全業種中で最も高くなっています。
2位は637.7万円の専門工事会社(設備系)
また専門工事会社(設備系)は、転職後の平均年収(673.7万円)、転職前の平均年収(576.1万円)ともに、ゼネコンに次いで2番目に高い結果となりました。
人手不足等を背景に選別受注が進み、適正価格での受注がしやすくなっているため、ゼネコンや専門工事会社(サブコン)のなかには利益率が上昇している会社も多くあります。そのため、ベースアップが進んで平均年収が増加傾向にあり、転職で年収を上げやすいといえるでしょう。
【全体】施工管理は3年間で平均101.9万円の年収アップ
【図17】施工管理:転職時の年収上昇額の推移

転職後の平均年収は668.8万円
施工管理のうち、転職で年収が増えた人のデータを分析したところ、転職後の平均年収、年収上昇額ともに高い水準で推移していることがわかりました【図17】。
2023年度の転職後の平均年収は596.1万円でしたが、2024年度は667.2万円と70万円以上アップ、2025年度も668.8万円と高水準を維持しています。この背景には、残業規制によるベースアップと、堅調な建設需要による企業の業績アップがあると考えられます。
また、3年間の転職時の平均年収上昇額の平均は101.9万円(2023年度:100.0万円、2024年度:95.8万円、2025年度:109.7万円)となりました。
企業規模や担当する工事規模、保有資格によって施工管理の年収はまちまちですが、施工管理の市場価値は高まっており、経験・スキルが評価されれば、転職で年収の大幅アップを実現できる可能性があるといえるでしょう。
【建築士(設計職)】転職後の平均年収ランキング(職種別/業種別)
【職種別】1位は810.5万円で設計監理、平均192.2万円増
【図18】職種別:転職後の平均年収ランキング(2025年度)

職種別の転職後の平均年収を見ると、設計監理が810.5万円と最も高い結果になりました【図18】。転職前の平均年収は618.3万円で、平均年収上昇額が192.2万円と全職種中で最も高くなっています。
2位は777.1万円の構造設計、平均94.7万円増
転職後の平均年収が2番目に高いのは構造設計(777.1万円)でした。構造設計は専門性が高く担い手が少ないため、転職前の平均年収も676.4万円と高めですが、平均年収上昇額も94.7万円と100万円近い水準になっています。
意匠設計は、大手ゼネコンから小規模なアトリエ設計事務所まで勤務先が幅広く、人数も多いため、転職後、転職前ともに平均年収が最も低い結果となりましたが、平均年収上昇額は110.7万円と設計監理に次いで2番目に高くなっています。
【業種別】1位はゼネコンで820.9万円、転職前の平均年収もトップ
【図19】業種別:転職後の平均年収ランキング(2025年度)

転職で年収が増えた設計職を対象に、業種別に転職後の平均年収を調べたところ、最も高い結果となったのはゼネコンで820.9万円でした【図19】。転職前の平均年収でも、ゼネコンが746.2万円と全業種中でトップとなりました。
2位は711.6万円のプラントメーカーで平均133.2万円増
ゼネコンの次に高い結果となったのは、プラントメーカー/O&Mで、転職後の平均年収が711.6万円でした。
プラントメーカー/O&Mの転職前の平均年収は578.4万円で、転職時の平均年収上昇額は133.2万円と高い水準を記録しています。
脱炭素(GX)による爆発的な新規需要を受けて、プラントメーカーの年収は上昇傾向にあり、転職時の平均年収上昇額を押し上げていると考えられます。
【全体】設計職は3年間で平均104.4万円の年収アップ
【図20】設計職:転職時の年収上昇額の推移

転職で年収が増えた設計職(意匠、設備、構造、内装、土木、設計監理の6職種)の転職後の平均年収は、2023年度の533.1万円から2024年度には666.9万円と130万円以上アップ、2025年度も626.6万円と同程度の水準を維持しています【図20】。
建設投資が増加する一方で、高齢化や残業規制によって設計職は人手不足が続いています。業界全体での働き方改革や業績アップの影響もあり、設計職の年収は増加傾向です。
なお、3年間の転職時の平均年収上昇額の平均は104.4万円(2023年度:88.7万円、2024年度:118.2万円、2025年度:106.3万円)でした。
設計職の転職市場は、100万円以上の年収アップが現実的な環境になっているといえるでしょう。
調査概要
内容 | 【建設業】転職時の年収変動実態調査 |
調査対象 | 2023年度〜2025年度(2023年4月1日〜2026年3月31日)の期間中、アンドプロのサービスを利用して転職決定した建設業従事者 |
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