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2025年下半期
生産技術・プロセス開発(化学)転職市場トレンド徹底解説
2025/9/16

【2025年下半期】化学業界の生産技術・プロセス開発の転職市場トレンド|年収や必要資格・知識・スキル、キャリアプラン

今期はここがポイント
転職のしやすさ
求人数
横ばい
  • 職域によって求人ニーズに差あり
  • グリーンケミストリー、半導体やEV、MIなどに関わった経験は高評価

全体的にはニーズ上昇中だが「職域」による差も大きい

化学業界の生産技術・プロセス開発の最新の有効求人倍率は0.89倍。有効求人数は11257件/月。コロナ前の水準以上まで回復している。
  • 世界的な脱炭素化、デジタルシフトの加速やEV市場の拡大を受け、とりわけ関連製品を扱う企業において、求人ニーズは増加傾向

※出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(「製造技術者(開発を除く)」のデータを参照。化学業界以外の生産技術および品質管理なども含まれる)

【要注目!】採用動向は「職域」によって差あり

職域別の生産技術・プロセス開発の転職市場の状況|化学系:やや買い手市場|化学工学系:大手中心にニーズが高まっている|設備系:売り手市場

※企業や求人によって分類や業務範囲には差があります。

化学系(ラボスケール)

  • 少数精鋭かつ、メジャーな分野ゆえに業界内での母数も多く、採用枠が埋まりやすい。比較的人材の需給バランスが取れており、やや「買い手市場」

化学工学系(ベンチスケール~)

  • ニッチかつ、石油化学系の大規模プラントでのみ必要な特殊領域。業界内での母数が極端に少なく、特に大企業では採用ニーズが非常に高い

設備系

  • そもそも工学系の学生は重工業・電機メーカーに就職するケースが多く、かつ転職による他業界への人口流出も。ゆえに化学業界全体で母数が少なく、各社採用ニーズが高い「売り手市場」

【職域別】転職難易度についてくわしく

今、熱い分野は? 化学業界の3大トレンド

化学業界の3つのトレンド|(1)グリーンケミストリー進展、(2)半導体・EV関連需要が増加、(3)自動化・効率化(DX)が加速|その結果、これらに関連する経験がある人材のニーズが増加している
  • 上記3つのトレンド分野において生産技術・プロセス開発職の求人ニーズが拡大しており、関連する経験のある人材は特に市場価値が高く、各社採用に積極的

トレンド(1)グリーンケミストリーの進展

世界的な脱炭素/環境規制の加速を受けて、化学業界ではGX推進に向けたグリーンケミストリーが進展している
  • 持続可能な社会の実現に向け、GX推進に対する期待と要求は年々高まっており、化学製品のみならず、製造業のあらゆるプロダクトは今や「環境配慮型でなければ売れない」時代になりつつある
  • そのため化学メーカー各社では、リサイクル技術やバイオ素材(バイオポリマーやバイオ燃料など)の研究開発や新製品立ち上げが急務に

トレンド(2)半導体・EV関連の材料ニーズが拡大

半導体・EV材料のニーズが高まっている背景|AI技術の進展やデジタルシフトの加速、EV市場の拡大といった世界的な流れの影響で、化学業界では関連材料のニーズが増加。開発競争も激化している。
  • AIやスマートフォン、EV市場の拡大にともない、半導体や電子材料向けのほか、全固体電池などの次世代バッテリー向け材料のニーズが高まり、開発競争も激化。

トレンド(3)DXによる自動化・効率化が進む

DX化が進む背景|従来は、熟練者の経験則に基づく開発・管理体制となっており、属人的で高コストな状況だった。それに対して、IoTやAIの活用・データに基づく予知保全や条件最適化を行えば低コストかつ知見も蓄積できることから、DXに取り組む企業が増加している。
  • コスト削減や付加価値・競争力アップに向け、化学業界全体で生産プロセスのDXに取り組む企業が増加

コンサル
タント

化学業界はまさに「大変革期」。中国・韓国メーカーの台頭によって基礎化学品が下振れするなか、国内メーカー各社は注力分野を上記のような高付加価値製品へシフト。生き残りをかけた開発競争が激しさを増しています。

結果、上記に関連する経験を持つ生産技術・プロセス開発の採用ニーズが高まっているのです。

大変革期の化学業界。将来性は?

2025年下半期時点の化学業界の将来性は「不透明」|脱炭素や半導体・EVニーズは拡大しているものの、景気の波に注意
  • あらゆる産業の根幹となる業界ゆえに、将来的にも化学製品に対するニーズが完全に枯渇することは考えにくい
  • さらに直近では、グリーンケミストリーや半導体・EV関連のニーズが拡大傾向だが、景気の波による影響には引き続き注意が必要

石化の赤字化で下落? 生産技術・プロセス開発の平均年収

化学業界の生産技術・プロセス開発の平均年収は707.2万円で、全職種平均(530.3万円)より高い水準。コロナを景気に700万円台に到達している。

※アンドプロ調べ(全職種平均は国税庁「民間給与実態統計調査」より引用。正社員のみ)

  • 化学メーカーは安価な原料に高付加価値を付けて販売できる上に、設備投資も高価な先端の機械・設備は不要なため利益率が高く、全職種平均に比べると年収は高め
  • 半導体やEVの需要拡大や賃上げの動きなどを受け、コロナ禍以降は700万円の大台を突破したが、直近では中韓メーカーの台頭や中国経済の鈍化による基礎化学品の供給過多の影響により、石油化学事業が赤字化→ボーナス減額になる企業も

【年齢別】50代で900万近くに

化学業界の生産技術・プロセス開発の年齢別の平均年収は、50代でピークを迎え約870万円に。どの年代でも全職種平均を超えている(参考:20代は500.4万円、30代は729.2万円、40代は798.5万円、50代は870.0万円、60代は633.3万円)

※アンドプロ調べ(全職種平均は国税庁「民間給与実態統計調査」より引用)

  • 全職種平均と同様に、20代から50代にかけて増加し、60代で若干低下。

コンサル
タント

生産技術・プロセス開発は業務の性質上、他部署との連携が重要になるポジションです。

ゆえに、転職時にリーダー/マネジメント経験があると、年齢にかかわらず、高い年収額でオファーをもらえるケースも珍しくありません。

企業や部署による差も大きいのが特徴

化学業界で高収入を目指すなら、大手企業だけが選択肢とは限らない|大手のほか、ニッチトップ企業や成長分野でも年収アップが期待できる。
  • 原則、大手ほど年収も高くなるが、特定分野でニッチトップの企業であれば、企業規模にかかわらず大手と同水準、もしくはそれ以上のところも。
  • また、半導体やEV関連など、成長分野に関わる企業や部署でも、年収は高くなる傾向に。

コンサル
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化学メーカー各社では、同じ企業内でも部署ごとに扱う製品や業務内容が大きく異なることから、ボーナス額にも差が出るケースが珍しくありません

目指すは工場長? 研究・開発職? 生産技術・プロセス開発のキャリアパス

化学業界の生産技術・プロセス開発のキャリアパスの例|入社~10年目:各製品/プロセスの担当者を経験し、さまざまな製品/プロセスの経験を積んでいく|10年目~15年目:キャリアが2つに分岐し、品質管理/品質保証に異動するか、研究・開発にキャリアチェンジする。|品質管理/品質保証に異動した場合は、責任範囲を広げて15年目以降に工場長を目指す。研究・開発に軸足を移した場合は、管理職/マーケティング職にキャリアチェンジするケースも。
  • さまざまな製品/プロセスを経験しながら、製造プロセス全体への知見を深めていくのが基本。ときには品質管理・品質保証へ異動することも。
  • その後は特定の工程のエキスパートになるケースもあれば、工場長として管理職に就くケースもある。

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生産技術・プロセス開発は、他部署との調整業務やとりまとめ業務ができる人材が出世する傾向にあります。

年収を上げたい場合、そうした業務・役割の経験を積極的に積みましょう。

若手なら研究・開発職にキャリアチェンジも可能

研究・開発職へのキャリアチェンジの方法は2つ|(1)現職での異動、(2)ポテンシャル採用で転職
  • 若手でかつ化学系・化学工学系であれば、製品やプロセスの研究・開発職に軸足を移すことも可能(※)。担当テーマの研究を続けるほか、チームのマネジメントや、次なる研究テーマの企画立案を担うポジションもある。
  • キャリアチェンジの方法には「社内異動をするか」「ポテンシャル採用を実施している企業に転職するか」がある。

※設備系は、化学分野の研究・開発職とは知識・スキルの親和性が低いため、キャリアチェンジの難易度は高め。

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転職で研究・開発職にキャリアチェンジする場合、化学以外のメーカーにもひろく目を向けるのがポイントです。

化学メーカーは即戦力の採用ニーズが高いものの、自動車や半導体関連など、業界によってはポテンシャル採用に積極的な企業もあるからです。

経営状況や労働環境への不安・不満から転職する人も

転職先の候補は、職域によって異なる|化学系・化学工学系の人の場合:別の化学メーカーが主な転職先|設備系の人の場合:別の化学メーカーに加えて、化学以外のメーカーも転職先の視野に
  • 特に石油化学系など、脱炭素化トレンドの影響で業績が悪化している企業もあり、将来性不安から転職を検討する人も
  • また、職業柄、工場の安定稼働のために夜間・休日対応があるほか、エンジニアリング会社では海外含めた長期出張もあるため、ワークライフバランス改善に向けて転職する人も珍しくない

コンサル
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転職先については、化学系・化学工学系同じ化学業界内での転職が多く、設備系は自動車や半導体など、化学以外のメーカーへ転職するケースも一般的です。

前者は経験・スキルの専門性が高く、後者は汎用性が高いからです。

市場価値を高めるための、重要スキルとは?

化学業界の転職市場でも評価されやすくなる、生産技術・プロセス開発の重要スキルを紹介します。

転職において重要な2つのスキル|(1)調整力、(2)DX知見

調整力

  • 製造部門の他メンバーはもちろん、研究・開発や品質管理・品質保証といった他部署との社内コミュニケーションが頻回に発生するため、調整力は必須スキル。
補足

特に化学業界は、設備や製造プロセス自体が競争力に直結する「装置産業」だからこそ、生産技術・プロセス開発職には、社内の中核的存在としてチームを牽引していく役割が強く求められる傾向が強い。

DX知見

  • 生産性・競争力アップに向け、化学含め製造業全体でニーズが高く、「Pythonが使える」「自動化や業務システム導入などのプロジェクト経験がある」などのIT人材は、市場価値が高まる。

化学系・化学工学系なら設備知見があると強い

設備知見は、化学系・化学工学系では高く評価される
  • 化学系・化学工学系であっても「設備設計(概念設計、仕様決めなど)までできる」といった機電系の経験・スキルがある人材は希少性が高く、転職市場でも評価されやすい。

転職の難易度も「職域」によって違いがある

職域別の転職難易度|化学系の難易度が高く、化学工学系と設備系は比較的難易度が低い。

化学系

  • 母数もそれなりにいるなか、少数精鋭で採用枠も限られるため、ほかに比べてやや「買い手市場」
  • また、専門性が高いため採用要件が細かく設定されているケースも多く、経験がマッチする求人を見つけづらいという特徴も。

コンサル
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上記の理由から、特に化学系では、転職活動は中長期的に行い、求人もこまめにチェックするのがおすすめです。

アンドプロまでご相談いただければ、ご経歴に合った求人が出たタイミングでのご紹介が可能です。

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化学工学系

  • 母数がとにかく少ないため、各社で採用ニーズがかなり高い。採用要件も「化学工学の経験がある方」などとゆるめに設定されているケースも多い
  • 一方、化学工学の知見が必要になるのは大規模プラントのため、応募先も必然的に大手の化学メーカーが中心となる

設備系

  • 化学系・化学工学系に比べて経験・スキルの汎用性が高く、化学以外のメーカー含め、応募先の選択肢が幅広い
  • また、化学業界全体で人手不足のため、採用要件もそこまで厳しくない

選考通過率を高めるためのポイント

選考で見られるポイント|書類選考:経験の親和性、面接:ソフトスキルの親和性

書類選考(職務経歴書)のポイント

  • 担当製品(材料)や業務範囲、生産設備(工場)の規模感などの親和性がチェックされるため、そうした情報を細かく記載する。

職務経歴書の書き方・テンプレート

面接のポイント

  • 経験の詳細に加え、調整力や課題解決力といったソフトスキルがチェックされるため、周囲を巻き込んで何かを成し遂げた経験、リーダーシップを発揮した経験などをくわしく伝える。

アンドプロでは、求人紹介に限らず、書類作成や面接対策など、内定まで一連の転職活動をフルサポートしておりますので、ぜひご活用ください。

化学業界の生産技術・プロセス開発の転職活動Q&A

化学業界の生産技術・プロセス開発の転職ノウハウについて、よくある質問をまとめました。

あなただけの「理想のキャリア」を描き、実現したい

私たちがご提供したいのは、転職という“手段”そのものではありません。

化学業界の生産技術・プロセス開発を熟知したプロとの面談を通じて得られる気づきと、そこから未来の設計図を描いていく体験です。

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この記事の監修者
アンドプロ コンサルタント
朝倉 良太
メーカー(化学・素材)

化学メーカー専門のコンサルタント。研究・開発職のほか、生産技術・プロセス開発、品質管理・品質保証まで、化学業界のあらゆる職種の転職支援を手掛けており、これまでのご支援人数は100名以上。

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