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2025年下半期
研究・開発(化学)転職市場トレンド徹底解説
2025/9/16

【2025年下半期】化学業界の研究・開発職の転職市場トレンド|年収や必要資格、キャリアパスまで

今期はここがポイント
転職のしやすさ
求人数
上昇
  • 求人ニーズ増えるも転職難易度は高め
  • グリーンケミストリー、半導体やEV、MIなどに関わった経験は高評価

求人ニーズは増加も専門性が高く、求人探しは難航しがち

化学業界の研究・開発職の最新の有効求人倍率は2.45倍。有効求人数は15484件/月。2021年以降上昇し続けており、コロナ前の水準に回復している。

※出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(「製造技術者(開発)」のデータを参照。化学業界以外の開発職も含まれる)

  • 世界的な脱炭素化、デジタルシフトの加速やEV市場の拡大を受け、とりわけ関連製品を扱う企業において、求人ニーズは増加傾向

求人探しが難しい!?ちょっと特殊な研究・開発職の転職事情

研究・開発職は、専門性の高さゆえに求人の要件と求職者の経験がミスマッチを起こしやすく、なかなかマッチしない
  • 企業側の採用ニーズ自体は高まっているものの、化学業界の研究・開発職は専門性が極めて高いため、ニッチでピンポイントな経験を求める求人が多い
  • そのため研究・開発職の転職市場には「自身の経験にマッチする求人探しが難航しやすい」という特徴あり。

転職難易度と対策についてくわしく

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経験にマッチする求人がすぐに見つかるとは限らないため、転職活動を中長期で行う方も多くいます

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今、熱い分野は?化学業界の3大トレンド

化学業界の3つのトレンド|(1)グリーンケミストリー進展、(2)半導体・EV関連需要が増加、(3)自動化・効率化(MI)が加速|その結果、これらに関連する経験がある人材のニーズが増加している
  • 上記3つのトレンド分野において研究・開発職の求人ニーズが拡大しており、関連する経験のある人材は特に市場価値が高く、転職しやすい。

トレンド(1)グリーンケミストリーの進展

世界的な脱炭素/環境規制の加速の影響を受けて、化学業界ではGX推進に向けたグリーンケミストリーが進展している。
  • 持続可能な社会の実現に向け、GX推進に対する期待と要求は年々高まっており、化学製品のみならず、製造業のあらゆるプロダクトは今や「環境配慮型でなければ売れない」時代になりつつある
  • そのため化学メーカー各社では、リサイクル技術やバイオ素材(バイオポリマーやバイオ燃料など)の研究開発が急務に

トレンド(2)半導体・EV関連の材料ニーズが拡大

半導体・EV材料のニーズが高まっている背景|AI技術の進展やデジタルシフトの加速、EV市場の拡大といった世界的な流れの影響で、化学業界では関連材料のニーズが増加。開発競争も激化している。
  • AIやスマートフォン、EV市場の拡大にともない、半導体や電子材料向けのほか、全固体電池などの次世代バッテリー向け材料のニーズが高まり、開発競争も激化。

トレンド(3)MI導入による自動化・効率化が進む

MI導入が進む背景|従来は、研究者の経験則に基づき膨大な数の実験を行ってきたが、属人的で高コストな状況だった。それに対して、データに基づく機械学習や統計解析を行えば低コストかつ知見も蓄積できることから、MIを導入する企業が増加している。
  • コスト削減や付加価値・競争力アップに向け、化学業界全体で生産プロセスのDXが進んでおり、研究・開発フェーズにおいてもMIに取り組む企業が増加

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化学業界はまさに「大変革期」。中国・韓国メーカーの台頭によって基礎化学品が下振れするなか、国内メーカー各社は注力分野を上記のような高付加価値製品へシフト。生き残りをかけた開発競争が激しさを増しています。
結果、上記に関連する経験を持つ研究・開発職の採用ニーズが高まっているのです。

大変革期の化学業界。将来性は?

2025年下半期時点の化学業界の将来性は「不透明」|脱炭素や半導体・EVニーズは拡大するものの、景気の波に注意
  • あらゆる産業の根幹となる業界ゆえに、将来的にも化学製品に対するニーズが完全に枯渇することは考えにくい
  • さらに直近では、グリーンケミストリーや半導体・EV関連のニーズが拡大傾向だが、景気の波による影響には引き続き注意が必要

先細り→成長分野への転職も可能!

  • 前提として、化学業界の需要は底堅いものの、総合化学メーカーは基礎化学品が収益圧迫しがち。特定分野に特化している川中~川下の企業も、注力分野が下振れすると業績悪化のリスクが大きい
  • そのため、総合化学メーカーで働く人も、川中~川下の企業で働く人も、自社の経営状況や将来性を不安視したタイミングで転職を検討する人も多い
川上~川下の企業には、それぞれリスクがある|上流の総合化学メーカー:基礎化学品が収益圧迫しがち|川中~川下のメーカー:注力分野が下振れすると業績悪化
  • 現職の経営状況や将来性が不安な場合、成長分野・業界への転職も一つの手。「蒸留」「分解」「合成」「重合」「配合」「成形」などの業務範囲の親和性があれば、転職は十分可能
現職と応募先の業務範囲の親和性が高ければ、成長分野・産業にも転職可能

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実際、PFAS規制の影響により、フッ素関連の企業で経営を不安視する見方が強まり、転職者が増えた事例もあります。

平均年収は650万近くと高水準

化学業界の研究・開発職の平均年収は648.6万円で、全職種平均(530.3万円)より高い水準。近年は650万円前後で横ばいに推移している

※アンドプロ調べ(全職種平均は国税庁「民間給与実態統計調査」より引用。正社員のみ)

  • 化学メーカーは安価な原料に高付加価値を付けて販売できる上に、設備投資も高価な先端の機械・設備は不要なため利益率が高く、全職種平均に比べると給与水準は高め
  • さらに近年、大手ではベースアップが、好業績企業ではボーナスアップが実施されるケースも多い。

【年齢別】50代で900万近くまで伸びる

化学業界の研究・開発職の年齢別の平均年収は、50代でピークを迎え900万円弱に。どの年代でも全職種平均を超えている(参考:20代は498.0万円、30代は639.8万円、40代は819.1万円、50代は882.5万円、60代は775.0万円)

※アンドプロ調べ(全職種平均は国税庁「民間給与実態統計調査」より引用)

  • 全職種平均と同様に、20代から50代にかけて増加し、60代で若干低下。

企業や部署による差も大きいのが特徴

化学業界で高収入を目指すなら、大手企業だけが選択肢とは限らない|大手のほか、ニッチトップ企業や成長分野でも年収アップが期待できる。
  • 原則、大手ほど年収も高くなるが、特定分野でニッチトップの企業であれば、企業規模に関わらず大手と同水準、もしくはそれ以上のところも
  • また、半導体やEV関連など、成長分野に関わる企業や部署でも、年収は高くなる傾向に。

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化学メーカー各社では、同じ企業内でも部署ごとに扱う製品や業務内容が大きく異なることから、ボーナス額にも差が出るケースが珍しくありません

転職で年収が平均55万円アップ!

化学業界の研究・開発職は転職すると、年収が平均で55.5万円(前職比1.10倍)アップする。特に半導体などの成長産業/大手では上がりやすい傾向あり

※アンドプロ調べ

  • 一般的に、より規模の大きい企業や、半導体製造装置などの成長産業ほど、平均年収も高くなる。

特定分野を極める?管理職にシフトする?研究・開発職のキャリアパス

化学業界の研究・開発職のキャリアパスの例|入社~5年目:担当テーマの基礎検討を担当|5年目~15年目|量産化対応/営業まで対応したり、別テーマの基礎検討を担当したりしながら、特定分野の専門性を高める|その後、管理職/企画・マーケティングにシフトする場合も
  • 担当テーマの基礎検討や技術開発を続けるのが基本のキャリア。無事製品化が決まれば、量産化や販売に向けた業務は別部署にパスし、新たな研究テーマに移る。自ら量産化対応や営業まで担うケースも
  • 数年スパンの研究→量産化のサイクルをくり返し、特定分野の専門性を高めていくのが一般的。一部、チームのマネジメントや、次なる研究テーマの企画立案を担うポジションもある。

やりがいや待遇改善に向けて転職する人も

「別のテーマや他産業に興味がある」「正社員になって給料をあげたい」といった悩みから、別の化学メーカーや化学以外のメーカーへ転職する人も多い
  • 一つの企業内で扱うテーマや職域は限られるため、「担当テーマが製品化につながらない」「よりプロセス寄りの仕事/別テーマに興味がある」といった理由から、別の化学メーカーに転職する人も多い
  • また、素材となる化学製品ではなく、自動車などより最終製品に近い業界への関心から、化学以外のメーカーに転職するケースも

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ポスドクや技術者派遣などで働いている方のなかには「年収を上げたい」「正社員として業務範囲を広げたい」といった理由で転職される方も多くいらっしゃいます。

市場価値をより高めるには?求められる4つの能力

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研究・開発職としてキャリアアップする上で、専門分野の経験・知識(専門性)や主体性・課題意識は不可欠です。
加えて顧客折衝力プロジェクトマネジメント能力があると、さらに市場価値が高まります。

顧客折衝力

  • BtoB領域のため、業界動向や技術のトレンドをふまえ、顧客のニーズを引き出す能力は重要。
  • 例えば、技術営業として客先訪問したり、学会発表などへ参加してコネクションを作ったりといった立ち回りができる人材は、重宝される。

プロジェクトマネジメント能力

  • 管理職ポジションなど、研究・開発チームのなかでも立場を上げていくためには、生産技術や品質管理・品質保証、分析オペレーターといった他職種との的確な連携・指示出しなども求められる

転職難易度は高めでも、成功するためのカギ

難易度が高い2つの理由

化学業界の研究・開発職の転職難易度が高いとされるのには、下記の2つの理由があります。

化学業界の研究・開発職の転職難易度が高い2つの理由|(1)経験にマッチする求人探しが難しい、(2)即戦力のプレイヤー人材が求められる

理由(1)経験にマッチする求人探しが難しい

求人ニーズは増えているものの、自身の経験にマッチする求人がないケースも多く、求人探しが難しくなっている
  • 研究・開発職は専門性が極めて高く、一つの求人に対する採用枠は1~2名。そのため求人ごとに求められる経験・スキルがピンポイントかつ、千差万別
  • 業務内容や担当製品、クライアント業界など、求人ごとに応募要件が細かく決められているため、そのうち自身にマッチする求人を見つけるのは至難の業

求人探しに難航した際は、アンドプロまでお問い合わせください。ご経歴を活かしつつご希望に合った求人を、多数ご紹介いたします。

理由(2)採用ニーズが即戦力のプレイヤー人材に集中しやすい

研究・開発職は、少数精鋭ゆえに管理職ポジションが少なく、新卒採用も順調で若手は潤沢な状況。その結果、採用ニーズが即戦力のプレイヤー人材に集中している
  • 化学業界の研究・開発は1人1テーマなど、個人/小規模のチームで進められるケースが多いため、マネジメント人材よりもプレイヤー人材が求められる
  • また、新卒採用も採用人数が限られるため、比較的順調。よって中途では即戦力人材に採用ニーズが集中しやすく、マネジメント人材やポテンシャル人材のニーズは比較的低め

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半導体や自動車など、ポテンシャル人材のニーズが高い業界もあります
化学分野以外に興味がある方は、選択肢の一つとして検討するのもおすすめです。

どう進める?転職成功のカギとなるポイント3つ

難易度が高いなかでも、転職活動をスムーズに進めるためのポイントを3つ紹介します。

転職活動の3つのポイント|(1)中長期で転職活動を行う、(2)他の業界・職種も検討する、(3)選考で親和性や主体性をアピールする

ポイント(1)中長期で転職活動を行う

研究・開発職は専門性が高く、求人もピンポイントなものが多い傾向があるため、中長期で求人を探すことが重要
  • 自分の経験にマッチする求人がすぐに見つかるとは限らないため、転職活動は中長期で行うのがおすすめ
  • 求人情報をこまめに確認し、マッチする求人が見つかるまでは、現職での業務を通して専門性を磨く。

ポイント(2)他の業界・職種も検討する

化学業界の研究・開発職が見つからない場合は、別業界や他職種を検討するのも一つの手|別業界の例:半導体、自動車、製薬など|他職種の例:生産技術/プロセス開発など
  • 化学業界の研究・開発職でマッチする求人が見つからない場合、化学以外の業界や、生産技術・プロセス開発職(スケールアップなど)などの他職種を検討するのも一つの手。
  • 「合成」「重合」などの業務範囲に親和性があれば、業界や職種をまたいだ転職は十分可能

ポイント(3)選考では親和性や主体性・課題意識をアピール

書類選考・面接でもチェックされる2つの必須スキル|(1)専門的な経験・知識、(2)主体性・課題意識
  • 化学業界の研究・開発職に必須とされる「専門性」「主体性・課題意識」を、書類選考や面接のなかでもしっかり伝えることで、通過率が高まる。
書類選考(職務経歴書)のポイント
  • 経験・知識の親和性を見られているため、求人の募集要項にある「職務内容」「必須条件」に記載のあるキーワードを必ず盛り込む

職務経歴書の書き方・テンプレート

面接のポイント
  • 経験の詳細のほか、主体性・課題意識を確認されるため、担当テーマに関して「課題→取り組み→結果」の一連の流れを詳細に話せるようにしておくと◎。

アンドプロでは求人紹介に限らず、書類作成や面接対策など、内定まで一連の転職活動をフルサポートしておりますので、ぜひご活用ください。

化学業界の研究・開発職の転職活動Q&A

化学業界の研究・開発職の転職ノウハウについて、よくある質問をまとめました。

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私たちがご提供したいのは、転職という“手段”そのものではありません。

化学業界の研究・開発職を熟知したプロとの面談を通じて得られる気づきと、そこから未来の設計図を描いていく体験です

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この記事の監修者
アンドプロ コンサルタント
朝倉 良太
メーカー(化学・素材)

化学メーカー専門のコンサルタント。研究・開発職のほか、生産技術・プロセス開発、品質管理・品質保証まで、化学業界のあらゆる職種の転職支援を手掛けており、これまでのご支援人数は100名以上。

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