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2025年下半期
半導体エンジニア転職市場トレンド徹底解説
2025/9/16

【2025年下半期】半導体エンジニアの転職市場トレンド|資格は必要?年収や将来性まで解説

今期はここがポイント
転職のしやすさ
求人数
横ばい
  • AI・自動車産業の成長で求人ニーズ
  • ただし直近はトランプ関税で採用慎重に
  • 装置メーカーEDAベンダーへの転職も

AI・自動車産業の成長で求人ニーズは好調

半導体エンジニアの2025年上半期時点の有効求人倍率は、設計職で2.45倍、プロセスエンジニアで0.89倍。有効求人数は、設計職で15484件/月、プロセスエンジニアで11257件/月。横ばい傾向が続くプロセスエンジニアよりも、設計職で人手不足感が強まっている。
  • AIや自動車産業の成長によるニーズのふくらみから、特に設計の有効求人倍率は上昇傾向で売り手市場プロセスエンジニアも、コロナ前以上の水準に回復している。
  • ただし「トランプ関税」の影響で採用を見直す企業も出てきており、直近では求人数の伸びは落ち着いている

※出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(「設計は「製造技術者(開発)」、プロセスは「製造技術者(開発を除く)のデータを参照。半導体エンジニア以外も含まれる)
※()内の有効求人倍率のみ、厚生労働省「職業情報提供サイト job tag」の「半導体技術者」のデータを参照(令和5年度実績)。

国産半導体衰退の影響で、構造的な人手不足

半導体の市場規模は2000年頃と比較して4倍に増加しているものの、就業人口は3割減の状態。膨らむ需要に対して、人手の供給が追いつかない状態に。また、国産半導体は、日米貿易摩擦やPC・スマホ領域への参入遅れ、開発投資の不足などを理由に、衰退・人口流出する事態となっている。
  • 特に半導体設計エンジニアは1990年代以降、国産半導体の衰退の影響によってなり手が少ない時代が続き、就労人口が減少
  • 結果、業界全体で高齢化が加速し、増え続ける半導体需要に対して人材供給が間に合っていない

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このように、半導体業界は人材の需給バランスが崩れているため、設計/プロセスエンジニアともに転職市場は活況です。

実際、理系出身者であれば、第二新卒や派遣技術者まで採用要件を緩和する企業も増えています。

激変する半導体エンジニアの転職市場。見逃せない4大トレンド

半導体エンジニアの転職市場で、おさえておきたい4大トレンド|(1)デバイスメーカーが業績二極化、(2)プロセスエンジニアにおいて、装置メーカー人気が急上昇、(3)設計職において、自動車メーカーで求人が増加、(4)設計職において、EDAベンダーへの転職事例が増加

トレンド(1)デバイスメーカー二極化で人材の流動性高まる

人材の流動性が高まっている理由|半導体業界は、AI・自動車向け半導体を扱う企業が業績アップしているのに対して、汎用向け半導体を扱う企業は業績がダウンしている状況。業績ダウンにともなう賞与カットも発生し、将来への不安を理由に、好調なAI・自動車向け半導体を扱う企業への転職が増えている。
  • デバイスメーカーの業績が二極化。高付加価値のAIや自動車向けの先端半導体に注力できている企業は、業績好調で求人増加。
  • そうでない企業は賞与カットになるケースもあり、将来性の不安を理由に転職を検討する半導体エンジニアも増えている

トレンド(2)【プロセス】装置メーカーの人気が急上昇中

装置メーカーが人気な理由|デバイスメーカーと比較して、事業構造的にリスク分散しやすく、業績安定で高収入も実現できることから、装置メーカーの人気が高まっている
  • デバイスメーカーに比べ、事業構造的にリスク分散しやすく、世界シェアも取れていて年収も高い装置メーカーの人気が急上昇中
  • 特に求人が増えているのは後工程の装置メーカー。前工程での微細化技術の限界・コスト増大を受け、後工程のパッケージング技術による高集積化が注目されている。

トレンド(3)【設計】自動車メーカーで設計エンジニアの求人ニーズが急増

自動車メーカーでは、競争力アップや「車一本」からの脱却の流れがあり、その結果、設計エンジニアの求人が急増している
  • 直近では特に自動車メーカーで設計エンジニアの求人が増加傾向。各社競争力を高めたい・半導体技術を起点に新ビジネスを創出したい狙いで、先端半導体を自社開発する動きが強まっている。

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一方、EV市場の成長鈍化で、パワー半導体などのEV向け半導体関連の求人ニーズは、やや落ち着いています

トレンド(4)【設計】EDAツールベンダーへのキャリアチェンジも加速

業績がダウンしているデバイスメーカーから、業績好調なEDAツールベンダーへのキャリアチェンジも増加中。転職することで、働き方改善や、先進半導体に関われるといったメリットも。
  • 車載向けAIチップなどの需要拡大を受け、超高速演算に対応可能なEDAツール(※)開発も加速。設計エンジニアからツールベンダーの技術営業へキャリアチェンジする事例も増加

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EDAツールベンダーは、先端半導体に関わりつつ、残業は少なめ・リモートワークもしやすいなど、働き方も改善しやすいため、人気が高まっています。

※EDAツール(Electronic Design Automation):半導体の回路設計・検証・レイアウト・配線などを自動化・効率化するソフトウェア。

【要注意!】トレンド変化が激しいため、こまめな情報収集を

半導体業界は、地政学的リスクが高く、技術革新のスピードも早いため、トレンドの移り変わりが激しい業界。そのため、こまめな情報収集が大切に。
  • 半導体業界は、微細化による高性能・低消費電力・高集積化など、技術革新のスピードが速い。また、世界的な注目・成長産業ゆえにトランプ大統領就任による米中摩擦や「トランプ関税」など、地政学的リスクも高い
  • そのため、業界トレンドや転職市場動向も短期間で様変わりすることから、こまめな情報収集と素早い判断・アクションが求められる

需要はいつまで続く?半導体業界の将来性

2025年下半期時点の、半導体業界の将来性は「不透明」|ニーズは堅調なものの、トランプ政権誕生の影響で先行き不透明な状態に
  • デジタル社会において、今や必要不可欠となった半導体。近年は生成AIや自動運転技術の影響も相まって、市場はますます拡大する見通し
  • ただし直近では、トランプ大統領による関税強化やリショアリング政策などによる影響も。各社、半導体サプライチェーンへの影響が読みきれず、採用活動には慎重な動きを見せている

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半導体業界は市場の変化や淘汰も激しい分野のため、よりよい転職やキャリア構築には、市場の見極めが不可欠です。

お一人での情報収集・転職活動に不安がある際は、アンドプロまでご相談ください。半導体業界専門のコンサルタントが業界の最新事情をふまえ、あなたにあったキャリアのご提案や、内定までの転職活動のサポートをさせていただきます。

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人手不足の解消に向けた動きが進むも、需給ギャップは埋まらず

半導体業界では、各社リソース確保のための人員配置の見直しやリスキリングなど、既存社員の最適化を進めているものの、世界的にニーズが膨らみ続けており人材供給が間に合っていない状況
  • 近年、増産に向けたリソース確保のため、人員配置の見直しや社員のリスキリングに取り組む企業も。
  • ただし、半導体ニーズは今後も着実に増え続けることが予想され、需給ギャップの解消は一朝一夕には難しいのが実情。人手不足は慢性化しており、人材ニーズは依然として非常に高い

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近年、未来の半導体業界を担う学生や若手人材の確保に向け、大学や高等専門学校における半導体専門学科・課程の新設など、産学連携で国を挙げたさまざまな取り組みがされています

実際に志願者数が増えているという報告もあり、人手不足解消に対する期待感が高まっています

平均年収は直近減少するも、1000万超も夢じゃない

半導体エンジニアの最新の平均年収は、631.8万円。アフターコロナで伸びるも、直近はやや減少傾向に|参考:2019年は631.5万円、2020年は626.3万円、2021年は606.2万円、2022年は630.2万円、2023年は666.1万円、2024年は649.1万円、2025年上半期は631.8万円。

※アンドプロ調べ(全職種平均は国税庁「民間給与実態統計調査」より引用。正社員のみ)

  • コロナ禍で加速したデジタルシフトの影響で、半導体ニーズも急増。製造装置メーカーをはじめ、業績が伸びた企業ではボーナスが鰻登り
  • ただし、直近では米中貿易摩擦や地政学的リスクの高まり、トランプ関税などの影響で不透明感が強まり、やや減少傾向

【年齢別】50代・60代で1000万に到達

半導体エンジニアの年齢別の平均年収は、60代でピークを迎え1000万円を突破。どの年代でも全職種平均を超えており、60代でも増加傾向が続いている|参考:20代は504.9万円、30代は626.7万円、40代は812.8万円、50代は947.6万円、60代は1033.0万円

※アンドプロ調べ(全職種平均は国税庁「民間給与実態統計調査」より引用)

  • 50代から60代にかけて、1000万円の大台を突破する人も少なくない
  • また、一般的に役職定年や嘱託社員への切り替えが発生する60代でも、むしろ収入が増えているのが特徴的。専門性の高さや人手不足感の強まりが影響していると考えられる。

【業種別】装置メーカーが特に高い

業種によって年収の上限額は大きく異なるのが特徴。多くの企業で年収上限が1200万円のところ、業績好調でボーナスも多い装置メーカーは1500万円と、大きな差がある
  • 半導体業界のなかでも、装置メーカーは利益率が20%と高水準かつ、好業績でボーナスも多いため、平均年収・上限額が高い傾向あり。

コンサルタント

特にプロセスエンジニアの方は、年収アップを目的にデバイスメーカー→装置メーカーに転職するケースも増えています

転職で年収が平均45万円弱アップ!

半導体エンジニアは、転職すると年収が平均43.1万円アップする(前職比1.07倍)。製造装置メーカーや完成品メーカーは特に上がりやすい。

※アンドプロ調べ

  • 特に世界シェアを取れている製造装置メーカーは、ボーナス金額が鰻登り。転職による百万円単位での年収アップも夢じゃない。

重要な資格やスキルは?半導体エンジニアのキャリアパス

半導体エンジニアのキャリアパスは、さまざまなプロジェクトを経験して責任範囲を広げていくのが一般的|(キャリアパスの例)入社~5年目は、各工程の担当者からスタートし、リーダーを経験。5年目~10年目でさまざまなプロジェクトを経験していく。その後、15年目にかけてキャリアが分岐し、エキスパートとマネージャーに分かれていく。
  • 半導体エンジニアのキャリアは各工程単位の担当者から始まり、5年目~10年目でチームリーダーを経験する。
  • その後はさまざまなPJを経験し、ときには別の製品や工程に異動することも。最終的には技術の専門性を高めるエキスパートか、PJや工程全体をまとめる管理職に分岐するのが一般的。

年収アップ・労働環境改善のための転職も多い

現職で残業が多かったり、賞与もカットされたりといった悩みを抱えていた人が、より大手・好業績の企業へ転職し、年収や労働環境を改善している。
  • 業績の二極化が進む半導体業界では、より高い年収を求め、大手や好業績の企業へ転職するケースも多い。また、業界全体で残業が多いため、労働環境の改善が転職理由になることも。
  • また、設計/プロセスエンジニアともに、デバイスメーカー→完成品メーカーや装置メーカーなど、業種をまたぐ転職も一般的
半導体エンジニアの場合、異業種への転職も一般的|設計職であれば、デバイスメーカー・完成品メーカー・EDAツールベンダー間で相互に転職することが可能|プロセスエンジニアの場合も、デバイスメーカーと装置メーカー間で相互に転職できる

おすすめ転職先はこちら

転職経験のある半導体エンジニアはどれくらい?

半導体エンジニアの場合、全体3割以上が転職経験あり|(参考)初めて転職する人が67.8%、2回目の人が19.8%、3回目以上の人が12.4%

※アンドプロ調べ

市場価値=応募先との親和性。資格は不要

転職時には、現職と応募先の製品・工程の親和性が重要。マッチしている人ほど高く評価されやすい。
  • 大前提、半導体製品は完成までのプロセスが長く複雑で、エンジニアひとりひとりの専門性も高いことから、「これさえあればOK」という、市場価値の高い絶対的な経験・資格などはほぼない
  • 転職時も、ポテンシャル採用はあるものの、基本的には「応募先で活かせる実務経験があるか」が最重要とされるため、これまでの担当製品・工程と親和性がある応募先を見つけることが、キャリアアップへの近道。

半導体業界で評価につながる3つのポータブルスキル

半導体エンジニアの3つのポータブルスキル|(1)語学力、(2)課題解決能力、(3)タフさ

コンサルタント

半導体エンジニアは専門性が高いものの、これら3つのスキルは多くの企業で活かせるため、積極的に身につけ、アピールするのがおすすめです。

語学力

  • 外資系企業では必須。日系企業でも顧客や協力会社が海外にあり、英語でやり取りするケースも珍しくないため、ある程度はできた方がいい

課題解決能力

  • 半導体は先端産業ゆえに、既存の技術やフローが通用しないケースも多く、そのなかでも主体的に課題を見つけ、解決していく力が求められる。

タフさ

  • 企業や職種によるが、半導体業界は成長産業で各社の競争も激しく、かつ人手不足傾向のため、残業時間が長くなるケースも

半導体エンジニアの転職難易度と成功のカギ

転職難易度はまちまちだが、業態ごとに特徴あり

転職の難易度は、企業や状況によりけり

コンサルタント

半導体業界は採用トレンドの変化も激しく、経歴によってもマッチする求人/しない求人があります

転職難易度は一概には言いづらいものの、業種によって下記のような特徴があります。

デバイスメーカー/完成品メーカー

  • 即戦力採用で経験の親和性が重視されるため、応募先との共通点がないと書類落ちになりやすい。

装置メーカー(特に日系)

  • ニーズの高まりを受け、大量採用やポテンシャル採用を実施している企業も多い。

外資系ファブレス/ファウンドリ企業

  • 語学力が必須。英文履歴書が必要で面接回数も3回かつ本国決裁が必要なため、選考期間も長くなりがち

補足

上記に加え、EDAツールベンダー(技術営業)は基本的に未経験での転職となるため、ポテンシャルを重視してもらいやすい傾向あり。

上記の例はあくまで一例です。アンドプロでは、IT業界専門のコンサルタントが、あなたのご経歴や専門性を最大限に活かせるキャリアプランや求人をご紹介いたします。お悩みの際はお問い合わせください。

実際、まわりは何歳で転職している?

半導体エンジニアの転職時の年齢は、20代~30代前半がボリュームゾーン。40代以上も2割弱存在する|(参考)20代以下が38.4%、30代前半が28.8%、30代後半が15.8%、40代前半が11.3%、40代後半が3.4%、50代以上が2.3%

※アンドプロ調べ

これで失敗しない!転職理由別のおすすめ転職先

半導体エンジニアによくある転職理由別に、おすすめの転職先を紹介します。

年収アップしたい

年収アップしたい場合のおすすめ転職先3選|(1)大手装置メーカー、(2)大手デバイスメーカー、(3)外資系
  • 年収は企業規模によるところが多いため、大手であれば年収が上がりやすく、特に装置メーカーは賞与が多い
  • 外資も成果次第で大きく伸ばせる可能性あり。
主な製造装置メーカー

東京エレクトロン、レーザーテック、日立ハイテク、ディスコ、SCREENホールディングス、東京精密、アドバンテスト

主なデバイスメーカー

キオクシア、ソニーセミコンダクタソリューションズ、ルネサスエレクトロニクス、TSMC、デンソー

会社の経営状況が不安…

会社の経営状況が不安な場合のおすすめ転職先2選|(1)装置メーカー、(2)AI関連のデバイスメーカー
  • 装置メーカーは注力分野を柔軟に変えることでリスク分散しやすく、経営も安定しやすい。
  • デバイスメーカーでも、昨今ニーズが急伸するAI分野に注力している企業では、業績が伸びている。

労働環境(残業・勤務地)を改善したい

労働環境を改善したい場合のおすすめ転職先|残業時間重視なら一部の日系装置メーカー、都市部勤務重視ならEDAツールベンダー
  • 半導体業界は成長産業ゆえに労働時間が長くなりがちだが、一部の日系装置メーカーではワークライフバランスのよさを売りにしているところも。
  • EDAツールベンダーは工場を持たないため、基本的に勤務地は都市部に限定される。また、残業も比較的少なめ。
主なEDAツールベンダー

シノプシス、ケイデンス・デザイン・システムズ、図研、シーメンスEDA

技術力を上げたい

技術力を上げたい場合のおすすめ転職先2選|(1)成長分野の半導体関連企業、(2)高シェア製品保有の装置メーカー
  • AIや自動車関連など、成長分野に注力している企業では先端半導体に関わることができる。
  • 製造装置メーカーについても、世界的なシェアを持つ企業では、独自かつ高度な技術を研究・保有しているため、技術力アップが期待できる。

半導体エンジニアの転職活動Q&A

半導体エンジニアの転職ノウハウについて、よくある質問をまとめました。

あなただけの「理想のキャリア」を描き、実現したい

私たちがご提供したいのは、転職という“手段”そのものではありません。

半導体エンジニアを熟知したプロとの面談を通じて得られる気づきと、そこから未来の設計図を描いていく体験です

採用企業側とも一気通貫で向き合う専任コンサルタントが、あなたの“専門性”と可能性を丁寧に言語化

転職をしない選択肢までも含め「最も輝ける道」をご提案いたします

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いま感じているモヤモヤや、理想の未来——まずは聞かせてください。 “転職後の幸せ”までも描く、私たちアンドプロと一緒にスタートしませんか?
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この記事の監修者
アンドプロ コンサルタント
大野 耕平
半導体業界

半導体業界専門のコンサルタント。特に設計・開発職や製造部門の転職支援を強みとしており、これまでのご支援人数は300名以上。

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