【2025年下半期】総務職の転職市場トレンド|年収やキャリア、将来性まで解説
- DX推進による業務効率化で求人数は横ばい
- 成長中のIT・通信業界では需要が拡大傾向
欠員補充が中心、求人数はほぼ横ばいで推移

※出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業別 一般事務従事者)」
※注1:「総務」単独の統計は公表されていないため、近似値として使用
※注2:本指標はハローワーク登録求人・求職者のみを基に算出された参考値で、民間求人サイト等の数値は含まれない
求人は欠員補充がメインの「狭き門」
総務職の求人は欠員補充がほとんどで、増員や新規ポジションでの採用はごくまれです。そのため常に求人が出ているわけではなく、総務職は「狭き門」といえるでしょう。
また企業によって総務職の業務範囲はまちまち。特に分業による業務の細分化が進んだ大手企業では、株主総会運営やコンプライアンス対応といったピンポイントの業務経験と専門知識を必須とする求人が多いため、応募できる求人が限られる傾向があります。
総務職の転職市場トレンド:2つの領域で需要が拡大傾向

DX推進・業務効率化:業務のデジタル化が加速

デジタル化の流れは不可避
多くの企業でDX化による業務効率化・自動化が推進されていますが、総務部門においても大きな課題となっています。ITツールの導入や業務プロセスのデジタル化の流れは不可避といえるでしょう。
ITツールやRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)を活用して業務の効率化や自動化を主導できる人材の需要が増加しています。
働き方改革への対応:柔軟な働き方を支える環境整備が課題に

柔軟な働き方に対するニーズが高まっている
コロナ禍以降、柔軟な働き方に対するニーズが高まっています。そのため、リモートワーク環境の構築や働き方に関する社内規定の整備・運用など、柔軟な働き方を支える環境整備の経験・知識を持つ人材の需要が拡大傾向です。
また、人事部門と連携して働き方改革関連法や雇用制度の改正に対応した経験、副業規定の整備やオフィス環境の改善など従業員エンゲージメント向上につながる業務経験を求める動きも出てきています。
総務職の転職、求められる人材トレンドは?

総務業務の効率化が大きな課題
業務効率化は総務部門の大きな課題です。そのため、RPAツールを導入してデータ入力や備品発注といった定型業務を自動化する、会議支援ツールでスピード感ある情報共有を実現するといった業務効率化を主導できる人材が求められています。
効率化・自動化の流れは今後も加速
総務は直接利益を生む部門ではないため、企業としては人員数をできるだけ抑えたいという事情もあり、効率化・自動化の流れは今後も加速していく見込みです。
総務の専門性と高いITリテラシーを持ち、業務の効率化・自動化を主導できる「総務×IT」のハイブリッド人材の需要は今後ますます高まることが予想されます。
総務職の将来性は?

業務量削減が進み求人は横ばいの見込み
データ入力や定型書類の作成といった定型的、反復的な業務はAIやRPAツールなどで自動化が進んでいます。またアウトソーシングの活用で、人員不足に対応する動きもあります。
今後、総務部門の業務量は削減が進むと予想されるため、総務職の需要は横ばい、もしくは減少していくという見方もあります。
AIで総務の仕事はなくなるのか?

AIやITツールを使いこなすスキルが必須に
AIへの代替や自動化が進んでも、トラブル処理など臨機応変な対応が求められる業務、社内外の関係者との調整といった配慮や判断が求められる業務は今後も残る見込みです。
これからの総務職には、コミュニケーション能力や問題解決力といった人間ならではの能力を磨くと同時に、AIやITツールを使いこなすスキル、つまりAIと共存できる力を身につけることが求められています。
総務職の募集が多い業界は?


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あらゆる業界で必要な総務職ですが、求人数が多いのはこの2つの業界です。
製造業界(メーカー)

従業員規模に比例して総務職の需要も大
製造業は工場や支社など拠点が多く、従業員規模の大きさに比例して総務職の求人も多くなっています。また、工場の安全衛生管理や労務管理、ISO認証対応など業務範囲が広いのも特徴です。
そのため、幅広い経験と業務知識を持つ即戦力人材が求められています。
IT・通信業界

業界全体の成長に伴い求人も拡大傾向
産業界全体でDX推進やAI導入が広がるなか、IT・通信業界全体の成長が続いていることから、総務職の求人も多くなっています。
また、スタートアップ企業が多いため組織拡大やIPOに向けた管理部門強化の経験が重宝される傾向です。DX推進による業務効率化や柔軟な働き方を支える環境整備の経験も求められています。
企業規模によって求める人材像は違う?
総務職の場合、企業規模によって求める人材像が異なります。大手企業と中小・スタートアップのニーズをそれぞれご説明します。
大手企業のニーズはピンポイントの業務経験
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欠員補充は社内異動で賄う傾向が強い
大手企業では、総務部門の欠員補充は社内異動で賄う傾向があります。一方で、分業化が進み業務が細分化されているため、社内人材では欠員ポジションの業務を担えない場合に、外部から即戦力人材を採用するのが一般的です。
具体的には、株主総会の準備・運営、コンプライアンス規定の整備・運用といったピンポイントで専門的な業務経験を必須とする求人が多く、転職難易度は高くなっています。

このほか、ピンポイントな応募要件の例としては、次のようなものがあげられます。
- 上場企業もしくは500名規模の企業で、情報セキュリティ対応、内部統制整備、内部監査経験のいずれかがある方
- 衛生管理者資格をお持ちで、労働安全衛生の実務経験・知識(業種問わず)のある方
- ペーパーレスや電子化、DXなどの業務効率化における実務経験をお持ちの方
- 防火・防災管理業務や安全管理、危険物管理に関する実務経験をお持ちの方
など

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ご自身の経験にマッチする求人が常に出ているわけではありません。見つけたら、応募するかどうか早めの検討を。
中小・スタートアップのニーズはゼネラリスト志向

人事や経理との兼任が一般的
中小企業やスタートアップでは、総務の専任者を置かず、人事や経理と兼任するケースがほとんどです。「人事総務」「総務経理」といった職種で求人が出されます。
マルチタスク能力や柔軟性が求められる
特にスタートアップの総務ポジションは、管理部門担当者としてバックオフィスの業務全般を担うのが一般的です。総務だけでなく人事から経理まで広範な業務をカバーする必要があるため、複数の業務を並行して進められるマルチタスク能力や柔軟性が求められます。
総務職のキャリアパスと年収は?
総務職の年収の目安は?

企業規模が大きいほど年収は高くなる
総務職の年収は、業界・企業ごとの給与水準をベースにスキル・役職によって決まるのが一般的です。コンサルティング会社や商社、不動産会社といった利益率の高い業界ほど年収は高く、また同業界内でも企業規模が大きいほど高くなる傾向です。

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給与水準の高い企業への転職は、年収を上げる有効な手段です。
総務職のキャリアパスは?

30代がキャリアの分岐点
大手企業では、年代ごとに役割や求められるスキルが変化していきます。具体的には、備品管理や社内文書の管理といった日常業務からスタートし、取締役会の事務局対応やオフィス移転プロジェクトの主導といった、より重要度の高い業務へステップアップしていくのが一般的です。
30代を目処に自身の志向や強みに応じて、管理職候補としてマネジメントポジションを目指すか、DX推進や社内規定の整備といった担当分野のエキスパートとして活躍するかキャリアが分岐します。

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理想のキャリアを実現するには、転職も選択肢の一つです。
未経験から総務職を目指すのは難しい
総務職のキャリアは新卒採用での配属か社内異動からスタートするのが一般的です。そのため、転職市場での求人ニーズは即戦力人材に集中しています。
もちろん「未経験歓迎」の求人はありますが、その数は限られているため、未経験での総務職への転職難易度は高めになっています。

コンサル
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未経験から総務職を目指すなら20代のうちに決断を。30代になると即戦力人材が求められるため、難易度はさらに高くなります。
総務職のキャリアチェンジは難しい?

幅広い業務を担当するものの…
一般的に、総務職からのキャリアチェンジ転職は難しいといわれています。総務職は幅広い業務を担当しますが、それ故に経理や人事といったほかの職種と比べると、特定の専門スキルが身につきにくいという側面があるためです。
また、営業職などと違って直接利益を生み出さず、成果の数値化もしづらいため、転職市場で評価されにくいといった要因もあります。
人事、経理への転職なら可能性あり
総務職のなかには人事や経理を兼任している人も多く、人事や経理に特化して専門性を高めたいと転職を考える人もいます。人事総務、総務経理として働いている人は、人事職、総務職へのキャリアチェンジ転職が選択肢の一つとなり得るでしょう。
また、IR・株主総会業務に関わった経験があれば、広報職への転職もチャンスありといえます。
総務職の転職で求められる経験・スキルは?
ここでは、総務職の転職で求められるスキル・経験についてご説明します。
年代ごとに求められるスキル・経験は違う?

20代前半:ポテンシャル採用は希少

大手・中堅企業では
大手・中堅企業では、総務職を新卒採用や社内異動で若手を賄う傾向が強く、ポテンシャル採用は希少です。求人が少なく倍率が高くなる傾向があります。
スタートアップでは
管理部門強化のタイミングで、未経験者や第二新卒も可とする求人が出されることがあります。求人数は少ないものの、主体性や熱意が評価されればチャンスはあるといえるでしょう。
20代後半〜30代前半:即戦力となる経験・スキルが必要

大手・中堅企業では
業務の中核を担う年代であり、即戦力となる経験・スキルがあることはもちろん、企業の採用ニーズと自身の経験がマッチするかが問われます。
また、大手企業では即戦力性に加えて、株主総会の運営、コンプライアンス規定の整備・運用といったピンポイントの業務経験が求められるケースが多く、選択肢が狭まる傾向があります。
スタートアップでは
組織拡大に伴う増員で、リーダー候補としてこの年代の即戦力人材を採用するケースがあります。
ただし、人事・経理も含めた管理部門全体の業務を担う必要があるため、幅広い業務経験と変化の激しい環境にスピード感を持って対応できる柔軟性やタフさが求められます。
30代後半:管理職・責任者候補となる力が必須に

大手・中堅企業では
30代後半は管理職・マネージャー候補としての採用になるため、マネジメント経験に加えて前職での高い実績が必須とされるケースが増えます。企業の要求水準が上がるため、選考基準も厳しくなります。
スタートアップでは
バックオフィスの責任者ポジションを担える能力が求められます。企業の成長フェーズにもよりますが、IPO準備に関わった経験や社内制度をゼロから構築した経験などがあれば評価が高まる傾向です。
40代:業務遂行力+経営視点が求められる

大手・中堅企業では
40代は管理職として採用されるのが一般的ですが、一定規模以上の企業では管理職は内部昇格で賄う傾向が強く、求人はごく限られたものとなります。当然、選考のハードルも高くなっています。
スタートアップでは
経営トップに近い立場で、管理部門全体を統括できる経験・能力が求められます。そのため業務を遂行する力だけでなく、経営視点や事業理解が必要となります。
選考基準は厳しめですが、責任者ポジションは内部昇格が多い大手・中堅企業に比べればチャンスはあるといえるでしょう。

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規模により業務範囲が大きく違うため、企業規模が異なる会社への転職は難易度が高くなっています。
転職成功のカギは?年収アップするには?

企業ニーズと専門性のマッチングが最重要
企業は募集ポジションの業務に対して応募者の経験・スキルが過不足なくマッチするかを厳しくチェックしています。
総務職としての基本スキルがあることは大前提、企業のニーズと自身の専門性やスキル・経験がマッチするかが最も重要です。

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総務職は他部門との調整・連携が多いため、特にコミュニケーション能力は重視されています。
転職で年収アップするには?
総務職の場合、企業規模によって業務範囲や求人ニーズが大きく異なるため企業規模を上げる転職は難しいのが実情です。
そのため、年収アップ転職を実現するには、企業規模が近いところで、より条件のよい会社へ転職するのが王道といえます。
転職成功のためのポイントは?

総務職は求人数が少ないことに加え、特に大手企業ではピンポイントの業務経験を求める傾向があり、自身の経験・スキルにマッチする求人が常に出ているわけではないと考えてください。
そのため、総務職の転職を成功させるには、
- 自身の経験にマッチしそうな求人があったら即応募する
- 転職活動を長期的に考えて、じっくり求人を探す
ことがカギといえます。
アンドプロでは、業界/職種に精通したキャリアアドバイザーが、ご自身も気づいていない専門性を把握し、あなたにマッチする企業をご紹介。スキルと経験を最大限に活かした「あなただけのキャリア」を実現します。
総務職の転職で企業が見ているポイントは?

まずは職務経歴書がチェックされる
採用側の企業は、自社の業務を任せられる経験とスキルがあるかを判断するために、まず職務経歴書から「業務範囲」「業務上の取り組み」をチェックします。
そこで応募ポジションとの親和性が認められなければ不採用となってしまうため、ここでお伝えするポイントを押さえた上で書類作成を進めましょう。
業務範囲はすべて書き出す

同じ「総務」でも業務範囲が異なる
総務職は業務範囲が広く、企業によって業務範囲が異なります。人事や経理と兼任の場合もありますし、たとえば同じ「労務管理」でも勤怠データの集計だけ担当していたのか、社会保険の手続きや労務相談まで担当していたのか、その業務範囲は企業によって異なります。
担当した業務はすべて記載する
職務経歴書には、これまで担当したすべての業務とそこでの役割を具体的に記載して、応募ポジションとの親和性を正しく判断してもらうことが大切です。
業務上の取り組みを具体的に
担当業務でどのような取り組みをし、どんな成果をあげたかを具体的に伝えることで、その内容やレベル感が応募ポジションにマッチするかどうかを正しく判断してもらうことが重要です。
応募先のニーズに合う内容を記載する
求人票をチェックしたり、転職エージェントに話を聞いたりして、自身の経験のなかでも応募先企業のニーズに合致するものを記載しましょう。

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業務やスキルのレベル感が伝わるよう、数字を用いて具体的にアピールしましょう。
異業界への転職はできる?難易度は?
総務職のスキルは汎用性があるため、「業務範囲」と「企業規模」の2つの要素に親和性があれば異業界転職は十分可能です。
異業界転職しやすいケースは?


企業規模が近ければ経験を活かしやすい
現職の企業規模と同等の企業であれば、業務範囲が近い場合が多いですし、総務部門が人事機能も担っているなど組織体制や機能に親和性があれば、これまでの経験やスキルが活かしやすく転職先でも活躍できる可能性が高くなります。
これまでの担当業務を活かせる業界を選ぶ
これまで担当した業務の経験を活かせるかどうかもポイントです。たとえば総務職として安全衛生管理を担当していれば、製造業や建設業への転職がしやすいといえます。
また、コンプライアンス関連の業務経験があれば、金融業界やIT業界といった法規制やデータセキュリティの知識・経験が重視される業界で評価されるでしょう。

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異業界転職の場合、「なぜその業界を志したのか」を問われることが多いため、説得力ある志望動機を準備しておくことも大切です。
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