【2025年下半期】人事職の転職市場トレンド|年収やキャリア、将来性まで解説
- 深刻な労働力不足を背景に求人ニーズは拡大中
- HRBP、DE&I推進など新しい領域の需要も拡大傾向
深刻な労働力不足を背景に転職市場は拡大中

※出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業別 一般事務従事者)」
※注1:「人事」単独の統計は公表されていないため、近似値として使用
※注2:本指標はハローワーク登録求人・求職者のみを基に算出された参考値で、民間求人サイト等の数値は含まれない
人事職の転職市場は拡大中
厚生労働省のデータでは、人事職以外の事務職も含まれるため、有効求人倍率は低い水準で推移していますが、人事職においては大手企業や成長企業を中心に需要が増加、転職市場は拡大を続けています。
その背景としては、深刻化する労働力不足や働き方改革への対応のため、各企業で人事部門の強化が図られていることがあげられます。
また人的資本経営・戦略人事への関心の高まりや社会の多様化に対応するため、HRBP、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)推進といった人事の新しい領域の求人ニーズも高まっています。
人事職の転職市場トレンドは?

4つの領域でとりわけニーズが拡大中

戦略人事の考え方が広がるなか、人的資本を最大限に活用するため、とりわけ以下の4つの領域で需要が拡大中です。
採用担当
多くの企業にとって、優秀な人材の獲得は急務です。採用する職種の理解があることはもちろん、採用プロセスを見直し、戦略的な採用活動をリードできる人材は引くてあまたとなっています。
人材開発
既存社員の能力開発も大きな課題です。社内研修・教育体制の体系化や効果測定、戦略的なリスキリング計画の立案などを担える人材の需要が高まっています。
人事制度企画
人的資本経営の要請から、人事制度の見直しも進んでいます。法改正やトレンドを踏まえた制度の企画・改定が求められており、ジョブ型制度への移行やグローバル人事制度の構築などに関わる経験は高く評価されます。
DX推進、HRテクノロジー活用
人事部門でもDX化が進んでいます。HRIS(人事情報システム)の導入・運用、HRテクノロジーによる業務の効率化・高度化を担える人材の需要が拡大中です。
DE&I推進人材の市場価値が高まる

実務経験を持つ人は引くてあまた
上場・大手企業を中心にDE&I推進のニーズが高まっています。
その一方で、DE&I推進に関わる制度や施策の設計・運用経験を持った人材はまだまだ数が少ないのが現状です。そのため、DE&I推進の実務経験を持つ人材の市場価値が高まっています。
HRBPの需要はさらに拡大

本社人事では解決できない課題に対応
複数の事業部を持つ大手企業を中心に、
- 全社一律の人事システムでは現場(事業部)ごとの実態・ニーズに合わない
- 本社人事だけでは現場(事業部)の人的課題をタイムリーに把握・解決できない
といった課題に対応するため、HRBPの導入が進んでいます。
HRBPの需要は今後さらに拡大
HRBPには、事業部ごとの実態に合わせた人事システムの運用のほか、各事業部の課題を人事の観点から解決する施策を立案・遂行する能力が求められます。
事業部トップのパートナーとして人事面から事業成長を支えるHRBPの需要は、今後さらに拡大する見通しです。
人事職の転職、求められる人材トレンドは?

DX化により業務は効率化・高度化
戦略人事の考え方が広がり、人事部門が戦略部門へと変貌しつつあると同時に、DX化が推進され、人事の業務は効率化・高度化しています。
人事システム(HRIS)の導入・運用はもちろん、社員のスキルデータを分析して戦略的な人材配置を検討する、退職要因をデータ化して離職防止策を講じるといったピープルアナリティクスのニーズも拡大しています。
人事の高い専門性とITリテラシーを持つ「人事×IT」のハイブリッド人材の需要は今後ますます高まることが予想されます。
人事職の将来性は?

人事職の需要は今後も拡大の見通し
2025年下期以降も人事職の求人数は増加が見込まれています。
深刻な労働力不足や人的資本経営への関心の高まり、既存社員の能力開発や離職防止の要請などを背景に、採用・人材開発・人事制度設計などの各領域で今後も需要が拡大する見通しです。
対人業務はAIに代替されない

定型的な業務は自動化が進むが…
事務作業など定型的な反復業務はAIやRPAで自動化されていくことが予想されます。
一方、企画業務などの上流工程はもちろん、社員のメンタルケアやキャリア相談、採用面接での人柄・コミュニケーション能力の評価といった、人と人との関わりが求められる業務は引き続き、人事職の役割として残ります。
要注目!人事職を積極採用中の業界、企業は?


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あらゆる業界で必要な人事職ですが、この4業界でニーズの拡大が顕著です。
IT・SaaS業界

業界全体で人材の奪い合いが加速

DXの拡大やエンジニア不足を背景に、業界全体で優秀な人材の奪い合いが加速しており、採用担当・人材開発の需要が拡大中です。
人事システムの導入・運用はもちろん、データドリブンな人事・採用戦略の立案・運用ができる高いITリテラシーを持つ人材が求められています。
医療・ヘルスケア・製薬業界

ニーズは拡大するも深刻な人手不足が続く

高齢化によるニーズ拡大を背景に、病院、介護施設、製薬・医療機器メーカーなど幅広い施設・企業で採用担当者や人材開発、人事制度企画の需要が拡大しています。
特に、医師・看護師・介護士などの専門人材の人手不足は深刻で、離職防止策の立案・運用や、多様な採用活動を推進できる人材が求められています。
製造業界(メーカー)

世代交代や新領域へのシフトで需要拡大

団塊世代の大量退職への対応、EVなど新領域への人員シフトを進めるため、採用、人材開発からDX推進まで幅広く需要が拡大、広範な業務を推進できるゼネラリストが歓迎される傾向にあります。
また、海外進出や採用拡大に伴う人材の多様化やサステナビリティ対応のため、DE&I推進やタレントマネジメントなど新しい領域の需要も拡大中です。

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トランプ関税などの影響で一部の企業では採用が厳選傾向に向かっており、今後の動向は要注目です。
物流・運輸業界

即戦力人材の補充が緊急課題

慢性的な人手不足に加えて、2024年問題と高齢ドライバーの引退により即戦力人材の補充が緊急課題です。そのため、採用担当の求人が拡大しています。
離職率が高い業界のため、待遇改善や働きやすい環境整備など離職防止策の立案・運用ができる人材の需要も拡大中です。また、残業規制に対応できる労務担当の需要も増加しています。
積極採用している企業は?
上場・大手企業とスタートアップが積極採用中


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上場・大手企業とスタートアップで人事職の需要が高まっています。
上場・大手企業のニーズは高度な専門人材

戦略人事を担う人材の需要が拡大
人的資本経営、戦略人事を推進する上場・大手企業では、人事部門強化のため人事職の需要が拡大しています。
分業化が進み、採用、人材開発、労務など業務が細分化されているため、各領域での高い専門性を持った即戦力人材が求められます。
スタートアップのニーズはゼネラリスト志向

限られた人員で幅広い業務を担当
成長中のスタートアップでは、IPOや事業拡大に向けてバックオフィスの人材ニーズが拡大しており、人事職も例外ではありません。
限られた人員で幅広い領域を担当するため、ポジションや担当領域にこだわらないゼネラリスト志向の人材が歓迎される傾向にあります。
人事職のキャリアパスと年収は?
人事職の年収の目安は?

企業規模が大きいほど年収は高い傾向
人事職の年収は、業界ごと・企業ごとの年収水準をベースにスキル・役職によって決まるのが一般的です。コンサルティング業界や商社といった利益率の高い業界ほど、またそのなかでも企業規模が大きいほど高くなる傾向があり、同年代でも幅があります。

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資金調達に成功したスタートアップのなかには、大手並の高い年収でオファーを出すところも出てきています。
専門領域で年収に差が出るケースも
需要が高まっている採用、人材開発、人事制度企画・設計、HRBPの領域で高い専門性を持った人材には、高い年収でのオファーが出されるケースも出てきています。
人事職のキャリアパスは?

30代がキャリアの分岐点
大手企業の場合、オペレーションからキャリアをスタートし、企画、戦略立案へと上流工程へステップアップしていくのが一般的です。
30代を目処に自身の志向や強みに応じて、ゼネラリストを目指すか、スペシャリストを目指すかキャリアが分岐します。

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理想のキャリアを実現するには、転職も選択肢のひとつです。
未経験からでも人事職にキャリアチェンジできる?
採用担当なら可能性あり

営業職や人材業界での経験はプラスに
未経験から転職しやすい職種としては、採用担当があげられます。コミュニケーション力や会社をアピールするプレゼン力が求められるため、営業職や人材業界で働いた経験がある人は採用される可能性があるでしょう。
資格取得がプラスになることも
国家資格である社会保険労務士を取得しておくと加点要素になることが期待できます。
実際に取得できていなくても、取得に向けて勉強中であることをアピールすれば、前向きさや熱意が伝わります。

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未経験から人事を目指すなら20代のうちに決断を。30代は即戦力人材が求められるため難易度が高まります。
人事職が理想の転職を実現するには?
ここでは、人事職の転職で求められるものや転職成功のためのポイントを解説します。
年代ごとに求められる経験・スキルはどう違う?

20代前半:ポテンシャル採用は少なめ

大手企業のポテンシャル採用は少ない
大手企業は新卒や社内異動で若手を賄う傾向があるため、ポテンシャル採用の枠は少なく、倍率は高めです。
一方、スタートアップは若手採用も盛んなため、主体性や柔軟性、熱意が評価されれば採用の可能性は十分あるでしょう。大手企業に比べると若手の裁量が大きい点も魅力といえます。
20代後半:即戦力となる経験・スキルが必要

転職成功例が多い年代
実績と将来性のバランスから、転職成功例が多い年代です。即戦力となる経験・スキルが必要ですが、企業のニーズとマッチすれば採用される可能性が高いといえるでしょう。
大手企業では即戦力となる経験・スキルを求められますが、スタートアップでは幅広い領域を一人で担う意欲と柔軟性が必要です。
30代:人事の専門性と実績が問われる

マネジメント経験が求められる場合も
企業の採用ニーズとスキルマッチしやすく、組織・風土にも馴染みやすいのがこの年代で、転職成功例が最も多くなっています。
ただし、30代後半になるとマネジメント経験が求められる場合もあるため、スペシャリスト志向の人は選択肢が狭まる可能性もあります。
大手企業では人事職としての専門性と実績が、スタートアップでは広範囲な経験と不確実性に対応できる柔軟性やタフさが求められます。
40代:管理職やスペシャリストとしての経験が求められる

企業の要求水準は高めになる傾向
大手企業の場合、管理職や高度な専門性を持ったスペシャリストとして経験が求められますが、管理職やスペシャリストの採用枠は限られており、求められるレベルも高く、選考のハードルは高くなっています。
スタートアップでは、未整備の人事領域をリードできる人材のニーズが高く、選考は厳選傾向ではあるものの、40代の経験豊富な人材が採用されるケースも出てきています。
人事職の転職、成功のカギは?求められるスキルは?

企業ニーズと専門性のマッチングが最重要
企業は募集ポジションの業務に対して応募者の経験・スキルが過不足なくマッチするかを厳しくチェックしています。
コミュニケーション力やプレゼン力といった基本スキルがあることは大前提、企業のニーズと自身の専門性やスキル・経験がマッチするかが転職成功のカギです。

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人事職の転職で企業が見ているポイントは?

組織の規模感と業務範囲

企業規模によって業務範囲は大きく異なる
同じ人事職でも、組織の規模感(対応人数)や業務範囲は企業によってまちまちです。100人規模の企業で採用から労務管理まで幅広い領域を一人で担当するケースもあれば、分業化の進んだ1000人規模の企業で採用専任のケースもあるでしょう。
そのため、企業は応募者の経歴から組織の規模感(対応人数)と業務内容を把握して、自社の人事担当としての業務を担えるかどうかを判断しているのです。
対応経験のある職種

職種が違えば採用方法や難易度も異なる
対応経験のある職種の親和性も重要です。たとえば、同じ採用担当であっても、採用する職種や人数が企業によって異なるためです。
職種によって採用難易度や選考のポイントが違いますし、母集団形成の方法や採用チャネルも異なります。そのため、対応していた職種に親和性がないと、即戦力と見なされず不採用になる可能性が高くなります。
異業界への転職はできる?難易度は?

基本的に難易度は高め
人事職の異業界転職は基本的に難易度が高めです。なぜなら、同じ労務管理でも、企業規模によって業務量が異なりますし、管理する職種が変われば安全管理の概念や勤怠管理のやり方などに違いがあるからです。
そのため、業種をまたいだ転職では「組織の規模感」「対応経験のある職種」に親和性があるかどうかがシビアに問われる傾向にあります。

異業界転職は20代のうちに決断を
人事職にとって難易度の高い異業界への転職ですが、20代であればポテンシャルを評価されてスムーズに転職が決まるケースもあります。
異業界への転職は20代のうちに決断することが望ましいでしょう。

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異業界転職の場合、「なぜその業界を志したのか」を問われることが多いため、説得力ある志望動機を準備しておくことも大切です。
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