【2025年下半期】広報職(企業広報)の転職市場トレンド|年収やキャリア、将来性まで解説
- 大手・スタートアップを中心に求人が拡大傾向
- 採用ニーズは戦略広報・採用広報の即戦力人材に集中
「企業の顔」として広報ニーズが増加、市場は拡大傾向

※出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業別 一般事務従事者)」
※注1:「広報」単独の統計は公表されていないため、近似値として使用
※注2:本指標はハローワーク登録求人・求職者のみを基に算出された参考値で、民間求人サイト等の数値は含まれない
買い手市場が続くが求人数は拡大傾向
広報職は人気職種である一方、他職種に比べて1社あたりの人員が少なく、求人数も少ないため「買い手市場」が続いています。
一方で、パーパス経営(自社の社会的役割や存在意義を明確にし、それを軸として事業活動を行う経営手法)の考え方が浸透した近年では、企業ブランディングが売り上げや採用に直結するため広報職の重要性が高まっています。
厚生労働省が発表したデータでは、広報職以外の事務職も含まれるため、有効求人倍率は低い水準で推移していますが、大手企業や成長過程にあるスタートアップを中心に広報職の求人は増加、市場は拡大傾向にあります。
広報職の求人ニーズは拡大傾向、その背景は?

1戦略広報のニーズが増加
ESG対応、人的資本経営などの社会的要請を背景に、経営戦略と連携して企業価値向上を担う戦略広報のニーズが増加しています。
2採用広報の重要性が増大
人手不足による採用難が続くなか、自社情報を発信し、求職者にブランド訴求して採用につなげることはもちろん、ミスマッチによる早期離職を防ぐためにも採用広報のニーズが拡大しています。
3スタートアップの需要拡大
成長過程にあるスタートアップ・ベンチャー企業では、サービスや企業ブランドの確立を担える人材のほか、資金調達・IPOを視野にIR的な要素を持った広報人材ニーズが増加中です。

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こうした背景から広報職の転職市場は拡大傾向。今後も求人数は増えていく見込みです。
広報職の転職市場で求められるのは即戦力人材

即戦力人材が求められる背景は?
これまで広報業務を総務などが担っていた企業にも専任の広報人材を置く動きが広がりつつありますが、そうした企業では広報部門は組織化されておらず、一人で幅広い広報業務をこなせる人材を求めています。
また、大手企業ではオペレーションを担う若手層を社内異動で賄う傾向にあり、転職市場で求められるのは高度な専門性とスキルに加えて豊富な経験と実績を持った即戦力人材です。
こうした背景から、企業の採用ニーズは即戦力人材に集中。ポテンシャル人材の採用ニーズは少なく、未経験から広報職に挑戦できるケースは限られています。

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未経験から広報職に就くには、次のような方法があります。
・企業規模を限定せず未経験可の求人に応募する
・マーケティングやPRといった隣接業務を経験した後に社内異動を目指す
広報職の転職、求められる人材トレンドは?

発信力だけでは不十分
広報職に求められるのは発信力だけではありません。経営視点を持って広報戦略を立案し、関連部署を巻き込みながら推進していける人材のニーズが高まっています。
広報戦略を立案した経験がなくても、自身の業務において、目標達成のために適切なKPIを設定し、効果測定しながら改善策を講じて成果を上げた経験があれば高評価につながります。

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経営・事業と連携した広報戦略の立案や企画といった上流工程を担える人材の需要は、今後さらに高まると予想されます。
企業ブランディングの時代、広報職の将来性は?

広報のスキルはAIに代替えされにくい
企業のブランドイメージが採用や売り上げに直結する現在、企業ブランディングの担い手である広報職のニーズは今後さらに高まっていくと予想されます。
また、メディアとの関係構築力や社内外での調整力といったスキルはAIに代替えされにくく、将来もなくならない仕事といえるでしょう。

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広報職の将来性は高いものの、戦略的な広報活動を通して企業価値向上に貢献できる力があるかが問われています。
広報職を積極採用している業界・企業は?

1IT・テクノロジー業界

競争を勝ち抜くために広報需要が拡大
競争の激しい市場を勝ち抜くため、製品・サービスのブランディングを担う広報人材が求められています。
またエンジニア採用の市況は非常に厳しく、人材の獲得競争に勝つため、採用広報の需要も高まっている状況です。
2製薬業界

医療・健康分野への関心が高まり需要増
医療・健康分野への社会的関心が高まるなか、製薬会社が発信すべき情報も増えており、広報体制を強化する動きが広がっています。
広報業務のスキル・専門性はもちろん、薬剤や疾患の知識・情報をわかりやすく発信する力を持つ人材が求められています。
3メーカー(製造業全般)

環境変化を背景に広報の需要拡大
脱炭素、ESG対応といった社会的要請の高まりや深刻化する人手不足など製造業を取り巻く環境は大きく変化しています。そのため、サステナビリティに関する情報発信や採用広報の重要性が増しており、広報体制強化の動きが拡大しています。
広報職を積極採用している企業は?

求人ニーズは二極化傾向に
企業規模の問題から、そもそも広報セクションを置くことが少ない中小の企業では、企業ブランディングへの取り組みも進まず、求人は少ないのが現状です。
そのため、求人ニーズは上場・大手企業と成長過程にあるスタートアップに二極化しているのが広報職の転職市場の特徴です。
広報職のキャリアパスと年収は?

企業規模が大きいほど年収は高い傾向
広報職の年収は、業界ごと・企業ごとの年収水準をベースにスキル・役職によって決まるケースが多く、同年代でも幅があります。
コンサルティング業界や商社といった利益率の高い業界ほど、またそのなかでも企業規模が大きいほど給与は高くなる傾向がある一方、一部のスタートアップでは、上場・大手企業並、場合によってはそれ以上の年収になるケースも出てきています。
広報職のキャリアパスは?

広報へのキャリアは異動か転職が一般的
中小規模の企業では、いわゆる「ひとり広報」も多く、企業規模や広報活動への注力度合いによってもキャリアパスはさまざまです。
ただ、企業規模を問わず新卒から広報へ配属されるケースは多くありません。マーケティングや採用といった関連性のある業務を経験した後、社内異動もしくは転職するのが一般的です。
また、総務、経営企画部門で広報業務を兼務している場合も広報専任ポジションへキャリアチェンジできる可能性ありといえます。
大手企業ではスペシャリストの道も
広報部門を持ち、分業化が進んでいる上場・大手企業では、20代で実務経験を積み、30代以降、リーダー/マネージャーとして責任ある業務を担当するのが一般的といえるでしょう。
その後はマネジメントに進む以外にも、「社外広報」「採用広報」といった領域ごとのスペシャリストを目指す道もあります。

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広報職は業界をまたいだ転職も可能な職種です。理想のキャリアや働き方を実現するのは、転職もひとつの選択肢といえます。
広報職の転職難易度は? 理想の転職を実現するには?
転職市場は拡大傾向とはいえ、広報職の転職難易度はやや高めです。ここでは広報職の転職事情についてご説明します。

大手企業でもポストは限られている
広報部門は「狭き門」です。中小の企業では広報部門を持たないところも多く、上場・大手企業でも数人から十数人程度とポストの数が限られています。
その一方で広報職の人気は高く、1人の採用枠に対して数十名の応募があることも。限られたポストをレベルの高い求職者が奪い合う状況が続いており、転職難易度は高めです。

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今後も広報職の求人は増えることが予想されており、市場が拡大すれば転職難易度も落ち着くという見方もあります。
年代ごとに求められるスキル・経験は異なる?

20代前半:ポテンシャル採用は少ない
企業は即戦力人材を求めているため「広報経験○年以上」といった条件付きの求人も多く、そもそも応募できる求人自体が少なめです。応募可能な求人があったら、すぐに応募するのがおすすめです。
20代後半:3~5年の経験が求められる
転職事例も多く、3~5年程度の実務経験と具体的な実績があれば、即戦力人材として評価される可能性が高いでしょう。
30代:高い専門性とスキルが必要
高い専門性とスキルが求められる一方で、企業の採用ニーズと最もスキルマッチしやすく、組織・風土にも馴染みやすい年代です。ただし、30代後半になるとマネジメント力を求められるケースもあり、企業の要求水準はやや高くなる傾向です。
40代:管理職経験を求められる
管理職・スペシャリストとしての高いスキルと経験が求められるケースが多く、他の年代と比べると転職事例も少ない傾向です。ただ、企業のニーズと合致さえすれば、年収1000万円超といった高い条件で迎え入れられるケースもあります。
広報職の転職で企業が見ているポイントは?

業務経験を余さず伝えることが重要
広報といっても、企業ごとポジションごとに業務内容や関係者の顔ぶれはまちまちです。そのため、「業務内容の詳細」と「社内外のどんな関係者とどのように関わり、どれだけの成果を出したか」を具体的に伝えなければ、企業は応募者が自社の広報業務を担える人材か判断できません。
募集ポジションとの親和性を正しく判断してもらうため、自身の経験を余すことなく伝えましょう。
広報職の転職、成功のカギは? 求められるスキルは?

企業ニーズと専門性のマッチングが最重要
前述したように、企業は募集ポジションの業務に対して応募者の経験・スキルが過不足なくマッチするかを厳しくチェックしています。
メディア対応力や情報収集力といった広報職の基本スキルがあることは大前提。転職が成功するかどうかは、企業のニーズと自身の専門性やスキル・経験がマッチするかどうかが最も重要です。
求人票に記載された採用要件を確認する、転職エージェントに話を聞くなどして自身が持つ経験・スキルのなかでも企業のニーズにマッチしたものをアピールしましょう

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他職種に比べると求人数が少ないため、スキル・経験にマッチする求人と出会えるかも大きなポイントです。
アンドプロでは、業界/職種に精通したコンサルタントが、ご自身も気づいていない専門性を把握し、スキルと経験にマッチする企業をご紹介。あなただけの「理想のキャリア」を実現します。
異業界への転職はできる? 規模の違う企業への転職は?
広報職の方が異業界への転職を考える上で知っておきたいことをご説明します。

異業界への転職は十分可能
広報のスキルは業界が変わっても通用するため、広報職の異業界転職は十分可能です。ただし、それぞれの業界特有の専門知識や法規制があるため、熱意を伝えるためにも事前にリサーチしておきましょう。

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上記の2点に加えて、特に面接では、
・なぜその業界を志望したのか
・これまでの経験を志望先の業界・企業でどう活かせるのか
も問われます。
業界未経験でも積極採用中の企業も
特に、IT業界など人材不足が顕著な企業では、業界未経験者であっても積極採用しており、広報職の異業界転職は十分可能といえます。
ただし、製品ブランディングが企業ブランディングに直結するBtoC企業と、企業そのもののブランディングが必要なBtoB企業では広報活動のやり方が異なるため、両者の間での転職は、やや難易度が高い傾向にあります。
規模の異なる企業への転職は難しい?


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業務範囲や予算額などの違いから、求められるスキル・経験に差があるため、規模の異なる企業への転職はハードルが高めの傾向です。
スタートアップから上場・大手企業への転職

スキル・経験が合わない場合が多い
上場・大手企業で求められる複雑な社内調整や大規模な予算管理の経験が足りないと判断されるケースが多く、転職難易度は高めです。
ただし、一部の企業ではスタートアップならではの幅広い経験やスピード感、主体性が評価され、即戦力人材として受け入れられるケースもあります。
上場・大手企業からスタートアップへの転職

転職後のギャップに注意
成長過程にあるスタートアップでは、役員直下のポジションや広報立ち上げフェーズでの募集などで、上場・大手企業で経験を積んだ広報業務の高い知見が評価されるケースがあります。転職難易度は高めではあるものの、チャンスはあるといえるでしょう。
ただし転職後、スタートアップのスピード感や、予算・人員といったリソースの少なさにギャップを感じるケースもあることには要注意です。
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