書き方・テンプレートITコンサルタント転職の職務経歴書
SE(システムエンジニア)やPM(プロジェクトマネージャー)からITコンサルタントに転職する場合の職務経歴書の書き方や、書く上でのポイント・注意点を解説します。IT業界の最新動向や採用事情に精通したキャリアアドバイザーのコメントも掲載中。
無料でダウンロードできるテンプレートもご用意したので、ぜひ活用してください。
ITコンサルタントの職務経歴書テンプレート
職 務 経 歴 書
20XX/XX/XX現在 氏名 転職 一郎
【職務要約】 大学卒業後、●●株式会社に入社。主に銀行や証券会社向けに●●システムの新規開発やエンハンス案件を担当。直近では海外拠点における●●案件にも参画しています。要件定義から保守まで幅広く経験しており、20XX年からはチームリーダーとしてメンバーの育成やプロジェクトのマネジメントに従事。
※「読み手にとって端的でわかりやすい文章」を意識し、「どんなプロジェクトを中心に・どの立場で・どこのフェーズを担当してきたのか」について、3~5行程度で簡潔に記載します。
【職務経歴】 20XX年XX月~現在 ●●株式会社 事業内容:システムの企画・設計・開発・販売・運用および保守管理の受託 資本金:XX億XXXX万円 売上高:XX億円 従業員数:XXXX名
期間 | プロジェクト内容 | 開発環境/規模・役割 |
20XX年XX月 ~現在 | ●●用●●システムのアーキテクチャ変更 [概要・目的] サービス向上を目的とした、既存システムのアーキテクチャの変更(EOS対応)。パッケージ製品(●●社製●●)の導入担当として参画 [担当フェーズ/担当業務] ・要件定義:要求ヒアリング・折衝、要件定義書の作成、パッケージ製品を用いたアーキテクチャの検討、外部ベンダーとの契約内容交渉 ・基本設計:顧客やベンダーとのシステム詳細検討、仕様書作成 ・テスト:設定内容の妥当性テストケース作成、進捗管理 ・リリース:システムセットアップ、スケジュールの作成 ・保守:障害対応(報告、テスト、リリース) ・各フェーズでのスケジュール管理も担当 [取り組み・実績] ・要求ヒアリングの際は個々の要望・課題からシステムの根本課題を特定し、将来的に起こりうるリスクなども提示した上ですり合わせを行い、最適解を見出した。 | [規模・役割] 案件規模:X億円 メンバー数:XX名 役割:リーダー [開発環境] Windows Linux Java C C+ Shell SQL |
20XX年XX月 ~20XX年XX月 | ●●事業会社向け API基盤システム 新規構築・機能追加 [概要・目的] 運用・保守コスト削減や操作性向上を目的とした、既存基幹システムと他システムとの連携を担うAPI基盤システムの新規構築。 [担当フェーズ/担当業務] ・要件定義:要求ヒアリング・折衝、要件定義書の作成 ・基本設計:仕様書作成、レビュー ・詳細設計:コーディング、レビュー ・テスト:一部機能におけるテストケース作成、実施 ・リリース:システムセットアップ ・保守:障害対応(報告、テスト、リリース) [取り組み・実績] ・顧客の要望する仕様では開発コストがかかる旨を資料とともに説明し、できる限り既存システムを活かせる代替案を提示し、承認を得ることができた。 | [規模・役割] 案件規模:X億円 メンバー数:XX名 役割:メンバー [開発環境] Windows Linux Java C C+ Shell SQL |
※PJごとに、背景や目的、担当業務や開発環境について詳細にご記入ください。特に顧客折衝経験やERPパッケージや基幹系システムに関わる経験は評価につながりやすいため、「担当フェーズ(業務内容)」や「取り組み・実績」の項目を中心に、文字数を割いて具体的に記載するのがポイントです。
【保有資格・スキル】 ・応用情報技術者(20XX年XX月) ・英語 TOEIC XXX点(20XX年XX月) 実務経験:海外ユーザー・ベンダーとのWeb会議(週1回)やメール作成。技術的なやり取りが可能
※IT関連の資格や英語力は加点要素になるため、あるものはすべて記載しましょう。英語についてはTOEICなどの点数に加え、実務での使用経験やレベル感についても併記します。
【活かせる経験・知識・技術】 ・システム開発の経験・知識 ・金融機関の主要業務や顧客・契約管理系、キャッシュレス決済などに関する知識 ・API開発の知識 ・顧客折衝・要件定義の経験 ・XX名のマネジメント経験、スケジュール/計画の作成経験
※「職務経歴」欄に記載した経験や、業務で発揮された/身につけた能力(知識・技術)を一言で表現し、箇条書きでまとめておきましょう。
【自己PR】
■主体的な課題発見・解決能力 トラブル発生時や進捗状況が芳しくない状況でも、上位者からの指示を受け身で待つのではなく、課題解決のために主体的に考え行動するよう意識して取り組んでおります。以前参画した●●プロジェクトにおいては、実装フェーズにおいて●●というトラブルが発生し、スケジュールの調整が必要になりましたが、自ら原因の特定や代替案の策定に努め、品質や納期への影響を最小限に抑えることができました。また、必要に応じてチームメンバーに協力を仰いだり、顧客やベンダーと交渉したりと、周囲を巻き込むことで最適な解決策を見い出せるよう努めています。
■ステークホルダーとの関係構築力 顧客やベンダーなど多くのステークホルダーとプロジェクトを推進していくなかで、常に率直に意見を言い合い、建設的な議論ができるフラットな関係性構築を心がけてきました。メールのやり取りや会議では「意見を否定しない」「技術的な話もわかりやすく説明する」といったことを意識し、相手が気兼ねなく発言できるような信頼関係を構築することで、思わぬ課題や解決策が見つかり、より本質的な課題解決につなげることができています。結果として、プロジェクト終了時には「●●さんと仕事ができてよかった」と言っていただけることも多くあります。
※課題発見/解決力やリーダー/マネジメント経験(プロジェクト管理能力)のほか、IT・システムに関する知識・技術は高い評価につながります。それぞれ、どんな業務や課題に対して、何を行い、どういった成果に結びついたのかをストーリー立てて説明しましょう。
以上
顧客折衝経験とドキュメンテーション能力が見られている
SEやPMからITコンサルタントへ転職する場合、職務経歴書では特に下記の2点がチェックされています。

書類選考を通過するためには、これらの経験や能力が十分にあることを、職務経歴書全体をとおしてしっかりと伝えていく必要があります。
顧客折衝の経験/能力

大前提として、ITコンサルタントの書類選考では、SEやPMの「実務経験」が合否の大きな判断基準とされていますが、なかでも要求/要件定義をはじめ、ステークホルダーとの折衝経験の内容・レベル感が、特に細かくチェックされています。
というのも、ITコンサルタントは職業柄、顧客の重役・経営層相手のヒアリングやプレゼンテーションが多く発生するため、採用担当者はそうした業務への適性を見定めようとしているからです。
そのため職務経歴書の作成時は、特に「職務経歴」欄や「自己PR」欄のなかで、SEやPMとして「課題解決に向けて顧客とどのようにかかわっていたのか」について、具体的に記載するのがポイントです。
ドキュメンテーション能力

ITコンサルタントはプロジェクト期間中、企画書や議事録、提案書といったさまざまな資料を作成する必要があるため、「読み手にとってわかりやすく、ミスのない職務経歴書になっているか」という、ドキュメンテーション能力(文章力)もチェックされています。
見にくいレイアウトや誤字脱字は適性を疑われかねないため、職務経歴書の作成時は全体を通して表組みや枠線、塗りつぶしなどの機能を駆使してメリハリをつけつつ、主語・述語や「てにをは」の間違い、冗長な表現がないよう十分注意しましょう。
特に若手でポテンシャル採用の場合や、採用倍率が高い大手のコンサルティングファームに応募する場合、この傾向はさらに強まります。
各項目のくわしい書き方は、次の章から解説します。下記の画像にポイントを一覧でまとめたので、こちらも参考にしてください。

1)職務要約
重要度:★・・・・

端的でわかりやすい文章にする
ITコンサルタントの書類選考で主に見られるのは後述の「職務経歴」欄のため、「職務要約」欄が合否に影響することは考えにくいでしょう。
ただし、ドキュメンテーション能力を疑われないよう「読み手にとって端的でわかりやすい文章になっているか」をよく確認しましょう。
「どんなプロジェクトを中心に・どの立場で・どこのフェーズを担当してきたのか」について、簡潔に記載します。
▼「職務要約」欄についてさらにくわしく
2)職務経歴
重要度:★★★★★
![【職務経歴】|20XX 年 XX 月~現在 ●●株式会社|事業内容:システムの企画・設計・開発・販売・運用および保守管理の受託|資本金:XX 億 XXXX 万円 売上高:XX 億円 従業員数:XXXX 名|期間 プロジェクト内容 開発環境/規模・役割|20XX 年 XX 月|~現在||●●用●●システムのアーキテクチャ変更|[概要・目的]|サービス向上を目的とした、既存システムのアーキテクチャの変更(EOS|対応)。パッケージ製品(●●社製●●)の導入担当として参画|[担当フェーズ/担当業務]|・要件定義:要求ヒアリング・折衝、要件定義書の作成、パッケージ製|品を用いたアーキテクチャの検討、外部ベンダーとの契約内容交渉|・基本設計:顧客やベンダーとのシステム詳細検討、仕様書作成|・テスト:設定内容の妥当性テストケース作成、進捗管理|・リリース:システムセットアップ、スケジュールの作成|・保守:障害対応(報告、テスト、リリース)|・各フェーズでのスケジュール管理も担当|[取り組み・実績]|・要求ヒアリングの際は個々の要望・課題からシステムの根本課題を特|定し、将来的に起こりうるリスクなども提示した上ですり合わせを行|い、最適解を見出した。||[規模・役割]|案件規模:X 億円|メンバー数:XX 名|役割:リーダー|[開発環境]|Windows|Linux|Java|C|C+|Shell|SQL](https://img-cms.and-pro.jp/assets/d7e0a3e649794856b0e7598cae6ab155/dab4e91ae6004edd983065cf28ace070/IT_consultant_resume_07.png)
プロジェクトや業務の内容を具体的に記載する

ITコンサルタントを志望する場合、「職務経歴」欄は合否に関わる最重要項目。
というのも、採用担当者はこの欄から応募者の実務経験を詳細に確認し、その内容やレベル感が「自社の募集ポジションや業務内容にマッチするか」を確認しているから。
よって実務経験についての記述が曖昧だったり不足していたりすると、他の項目の内容にかかわらず「よくわからないから不採用」になってしまうのです。
そのため「職務経歴」欄には、これまで関わったプロジェクトごとに、下記の項目を具体的に記載しましょう。

また、前述のとおり「多くの情報をいかにわかりやすく伝えられるか」というドキュメンテーション能力も見られているため、適宜表組みや枠線、塗りつぶし機能などを使って見やすいレイアウトを心がけてください。
顧客折衝について重点的に触れる
先述のとおり、採用担当者はITコンサルタントへの適性を判断しようと、「顧客折衝の経験/能力」を特に細かくチェックしています。
そのため、顧客折衝経験については「担当フェーズ(業務内容)」や「取り組み・実績」の項目を中心に、文字数を割いて具体的に記載するのがポイントです。
特に社長や役員といった顧客の上層部と直接対話した経験は、高評価につながります。
担当フェーズ(業務内容/役割)
「担当フェーズ(業務内容)」の項目では、単に「要求/要件定義」だけではなく、例えば「要件定義:新規事業イメージのヒアリング、アーキテクチャ検討やコスト調整」などと、具体的に何を行ったのかについて補足説明を追記します。
「取り組み・実績」
「取り組み・実績」の項目であれば、例えば「ERPシステムの導入時はPMO、経理、財務、IT、購買の各部門に要件ヒアリングを実施し、As-IsとTo-Beを定義した」など、どんなステークホルダーとどのように関わったのかについて、くわしく記載しておきましょう。
キャリア アドバイザー
ERPパッケージや基幹系システムに関わる経験は◎
コンサルティングファームが扱う案件との親和性から、ERPパッケージや基幹系システムに関わる経験は評価につながりやすい傾向があります。
エンジニアとしての経験年数が長く、プロジェクト数が多くなる場合は、特にこうしたプロジェクトについてくわしく記載するとよいでしょう。
なかでも「SAP」は、昨今保証切れで刷新対応が必要な企業が多く、知識・技術の専門性も高いため、評価が飛躍的にアップします。経験があれば必ず記載しましょう。
▼「職務経歴」欄についてさらにくわしく
3)保有資格・スキル/活かせる経験など
重要度:★・・・・
ITコンサルタント志望の職務経歴書において、「保有資格・スキル」欄や「活かせる経験・知識・技術」欄はあまり重視されていないため、下記のポイントだけ押さえておけば問題ありません。

「保有資格・スキル」欄

「保有資格・スキル」欄にはIT分野の知識・技術の証明として、所持しているIT系の資格はすべて記載しておきましょう。
また、TOEICは700点以上であれば、記載することで加点要素になります。BIG4をはじめ、ITコンサルタントではグローバル案件が多かったり、オフショア開発を行うケースもあるからです。
記載時は例えば「オフショア先の現地エンジニアとのオンライン会議(週1回)」など、実務におけるレベル感や使用頻度についても併記します。
▼「保有資格(語学)」欄についてさらにくわしく
「活かせる経験・知識・技術」欄

「活かせる経験・知識・技術」欄には、「職務経歴」欄に記載した経験や、業務で発揮された/身につけた能力(知識・技術)を一言で表現し、箇条書きでまとめておきましょう。
▼「活かせる経験・知識・技術」欄についてさらにくわしく
4)自己PR
重要度:★★・・・

ITコンサルタントを志望する場合、「自己PR」欄はあくまで加点要素です。
特に、ITコンサルタントに求められる下記のような経験・スキルを、その根拠となる具体的なエピソードを題材にアピールできると、さらなる評価アップにつながるでしょう。

課題発見/解決力
ITコンサルタントはまさに顧客の課題を見つけ、分析して解決策を探る仕事ゆえに、課題発見/解決力があると高く評価されます。
具体的には、本質的な課題解決のために、顧客の課題や要望を整理しすり合わせをした経験や実装フェーズにおける工数の削減、運用フェーズにおけるコスト低減を自ら考え提案し、実行した経験を題材にするとよいでしょう。
リーダー・マネジメント経験
ITコンサルタントにはプロジェクトの納期やコストを管理することも求められるため、SEやPMとしてシステム開発のリーダー・マネジメントを担った経験(プロジェクト管理能力)も好印象です。
例えば「納期が厳しい場合は自分も手を動かす」「若手の育成によりコーディングのスピードを上げる」など、これまでのシステム開発において、リーダーやマネージャーとしてチームをまとめる上で工夫したエピソードを題材にアピールしましょう。
IT・システムに関する知識・技術
ITやシステムに関する経験・知識・技術のうち、専門性があり強みとなるようなものや、応募先で明確に求められているものを念押しでアピールするのもよいでしょう。ITの成熟度や応募先との親和性が伝わります。
記載時は単に「長年◯◯に関するシステム開発に携わってきたため、△△の知識がある」というだけではなく、「複数の顧客から安定稼働について評価されている」「社内で功績が認められ、◯年目にしてPMに抜擢された」など、専門性や強みが発揮された結果や成果についても記載しましょう。
▼「自己PR」欄についてさらにくわしく
コラム:実装経験やコーディング技術はどこまで必要?
昨今ノーコード・ローコードでの開発も増えるなか、上流工程やプロジェクト管理を担うITコンサルタントには、実装経験やコーディング技術は不要とするコンサルティングファームも増えています。
しかし、そのような考え方はまだ少数派。顧客のIT課題に対して本質的で効果的な解決策を考え提案するためには、一定の実装経験やコーディング技術も必要だとする考え方が依然として主流です。
応募先でどれくらい求められているかどうかは、求人の「必須条件」や「職務内容」を確認しましょう。
もし実装経験やコーディング技術を求められる場合は、そのレベル感について懸念されないよう、下記のような方法で知識・技術のアピールをするのがおすすめです。
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履歴書の作成も忘れずに!
転職の書類選考では、職務経歴書とあわせて履歴書の提出を求められることが一般的。
まだ着手していない場合、まずは下記の記事から自分に合ったテンプレートをダウンロードしましょう。
ダウンロードできたら、下記の記事から書き方・ポイントを確認し、早速作り始めてみましょう。












