
創業期の「突き抜けた情熱」を再び。百年企業が立ち返るモノづくりの原点、異端を活かす奥行き
トヨタグループの源流である豊田自動織機は、2026年に創業100年を迎えます。複数の世界シェア1位を擁する多角的な事業を土台として、創業の志である「世のため人のため」というモノづくりの原点回帰へ。「縦割りの打破」を掲げてシナジー創出に挑む今、どのような人材を求めているのか。キャリア入社者としての視点も持つ人事担当の近藤大輔さんに背景を伺いました。
近藤 大輔(こんどう・だいすけ)さん
エレクトロニクス事業部総括室室長(人事総務担当)
証券会社で営業を務めたのち、豊田自動織機に入社。人事と営業畑を歩み、現在はエレクトロニクス事業部室長として人事、総務、特命PJなどを統括する。
必要なのは「縦割りの打破」と「異端の存在」。100年企業が挑む大変革
Q:創業100年を前に現在取り組んでいる課題や、今後の方向性についてお聞かせください
現在の最大の課題は「縦割りの打破」です。これまでは各事業部が独立し、切磋琢磨して成長してきました。しかし自動車でも物流でも電動化、自動化、AI化といった次世代技術が共通のテーマとなっている今、社内にも未来に繋がりそうなビジネスの種、開発の種が転がっているのに、活かし切れていない現状があります。
例えば、エレクトロニクス事業部が持つ電源の知見を、フォークリフトなどの開発に活かしていく。各事業部が持つ知識や顧客情報などを共有し、それぞれの事業を横串で通していく変革が必要だと考えています。
Q:会社が大きく変貌するなか、どのようなマインドを持った人材を求めていますか
正直に申し上げれば、これまでは温和で協調性が高くて頭がよい「平均点が高いタイプ」を多く採用してきました。安定した活躍が期待できる人材はもちろん、これからも必要です。しかし、次につながるビジネスのためのアクセルを踏んでいる今、それだけでは足りないとも感じています。
現在求めているのは「自ら変えていく、変わっていく人材」です。既存の文化から突き抜けて新しい価値を生み出せる、ある種の「異端の人」も必要だと考えています。「変わった人なら誰でもいい」という意味ではありません。組織に前向きな刺激を与えてくれる存在です。これまでは「社風に合わない」と見送った人でも、「面白そうだから入れてみよう」という風に、採用の味付けも少し変えていく必要があるのではと感じています。

創業当時の突き抜けた情熱を再び。「尖り」も包み込む老舗の懐
Q:伝統企業が「異端」を求めるというのは、少し意外な気もします
弊社の原点に立ち返れば、決して意外ではありません。創業者の豊田佐吉自身が、よい意味で“型破りな人”でした。時を忘れて仕事に没頭し、部下から言われて初めてその日が元旦だったことに気づくなんていうエピソードを残しています。創業期にあった「圧倒的な熱量」のようなものが、今こそ必要な気がしています。
弊社は外からは「真面目で堅い」というイメージを持たれがちですが、部下の意見を尊重する懐の深い上司が多く、とても柔軟な組織です。企業としての奥行きがあるからこそ、多少の「尖り」も受け入れることが可能です。
例えば30代で転職してきた、バイタリティーあふれる営業担当者がいました。彼は温和な職場にやってきた「ハンター」のような存在でした。その異質さを周囲も受け入れた結果、大きな成果につながり、今では部長として活躍しています。「何をやるかはわからないけれど、面白そうだ」という、野性味あふれる人材にも期待しています。
挑戦できる舞台を支える、それぞれの「世界一」
Q:その変革の土台となる、現在の注力事業の全体像についても教えてください
弊社の売上の約半分は産業車両事業です。特にフォークリフトは国内・世界ともにシェア1位であり、今後も最もリソースを投入すべき「コア中のコア」の事業です。
そして、この強みをさらに広げていくために特に注力しているのが 物流ソリューション事業です。世界中で人手が不足し効率化のニーズが高まるなか、フォークリフトだけでなく自動搬送ロボットや倉庫管理システムなどを組み合わせ、物流現場全体をよりスマートにする取り組みを進めています。フォークリフトと物流ソリューションを合わせて展開することで、お客様の現場をトータルで支えることができ、その強みがより強固なものになると考えています。
残りのおおよそ4割が自動車事業です。世界シェア1位のカーエアコン用コンプレッサーをはじめとし、RAV4といった車両の開発、エンジン開発などを手掛けています。
そして、私たちの「原点」である繊維機械事業。ここでも主力機種は世界1位のシェアを誇ります。この原点があるからこそ、今のトヨタグループの歩みに繋がっています。
これら複数の「世界一」を持つ盤石な事業基盤こそが、社員が安心して新しいことに挑戦できる環境の土台となっています。

Q:変革期において、若手やキャリア入社者が自分の力を発揮できる環境はありますか
弊社には「若手に敢えて重い仕事を任せる」という風土があります。私自身も経験しましたが、それは完全に放り出す「丸投げ」ではありません。「入社3年目ならこれくらいの失敗はするだろう」と見通したうえで、周囲のサポートを受けながら挑戦してもらうイメージです。
これはキャリア入社の方も同様です。その時はぜひ前職で培った、弊社とは違う風土や感性、いわゆる「エッジ」の効いた部分を発揮してもらい、職場に化学変化を起こしてほしいです。
「対話」や「斜めトーク」で、細やかなキャリア形成支援を
Q:キャリア支援について、社員の成長をどのように引き出しているのでしょうか
近年の取り組みで特徴的なのが、社員のキャリアを具体的に描いていく「対話」です。
かつては本人が「異動したい」と希望しても、上司が把握して終わりというケースがありました。「対話」はそのブラックボックス化を防ぐための仕組みです。希望するキャリアプランについて、本人が主体的に考え、人事が旗振り役となって各部署間で調整していくことで、本人の意思や希望に寄り添いやすくなりました。これによって今後、部門の垣根を超えた働き方が増えていくはずです。
Q:働きやすい環境づくりや、女性の活躍推進についてはいかがでしょうか
部署や担当事業によっても変わりますが、フレックスやハイブリッドワークに加え、育児・介護支援など社員のライフステージに応じた柔軟な働き方を選択できる制度があります。
そのなかでも女性活躍という側面で始まったのが、「斜めトーク」という制度です。女性社員はまだ母数が少ない(全体の8.6%=24年度)ため、身近にロールモデルを見つけにくいという課題がありました。そこで自分の悩みや相談したいことなどを登録してもらい、他部署の女性社員(メンター)とマッチングさせて、キャリアやライフイベント(育児・介護との両立など)の悩みを相談できる場を設けようという試みです。
安心の環境で果敢に挑戦を。最前線で専門性を活かしてほしい

Q:改めて、「次の100年」に向けた展望を教えてください
もともとこの会社は、豊田佐吉が「お母さんを楽にしたい」「この国を豊かにしたい」という思いで織機を開発したことから始まりました。万人を幸せにするという、公共事業的な原点があります。
もちろん紆余曲折はありましたが、創業100年を順調な形で迎えることができました。次の事業の種は社内に転がっていますし、体制としても中長期目線でやるべきことをできる状態が整ってきています。社員にとっては「真っ当な製品」を作って社会に貢献できる、より誠実な環境になっています。
「次の100年」に向け、足元ではこれまでの常識が通じない、劇的な変化が起きようとしています。我々としてはより一層、変わることを恐れず、力強い一歩を刻んでいければと考えています。
Q:豊田自動織機への応募を検討している方へメッセージをお願いします
弊社には今も、「中小企業がそのまま大きくなった」ような、どこか人臭い、温かな空気が残っています。システマティックになりきれていない面もありますが、ひとりひとりの仕事に「手触り感」があり、人との距離が近い。それが私たちのよさです。
そして今、この会社は創業100年を前に、組織が大きく変わろうとする「熱気」に包まれています。物流の自動化やEVシフトといった最前線で、会社が成長していく瞬間を自分事として体験できるのではと思います。
盤石な基盤があり、安心して長く働ける環境がある。その上で、自分の専門性を活かして新しい時代を切り拓いていきたい。そんな熱意のある方にとって、今の豊田自動織機は「最高の舞台」になるはずです。
Q:最後に、アンドプロに対して期待していることがあれば教えてください
アンドプロさんはよい意味での、前のめりの空気感があります。担当者の方が自分の頭で考えて、「こんな人材どうですか」と真剣に提案してくれます。
また私たち企業側と求職者を、同じ人が担当してくれるのがありがたい。僕らがお伝えしたことが、ダイレクトに求職者の人に伝わっているのがわかる。その一気通貫のコミュニケーションができるっていうのは、とてもやりやすいですね。

文:佐藤 将人(アンドプロ編集部)/撮影:グリフィス 朗子
豊田自動織機 関連情報
データで見る、豊田自動織機の「採用」と「働き方」
男性の育休取得率は3年で2倍に
<24年度>
- 入社者数:313人(うちキャリア入社は約1/3)
- 月の平均残業時間:26時間
- 離職率:1.2%
- 男性の育児休職取得率:63.9%(3年間で2倍に)
- 有給休暇取得率:94.3%
アンドプロの 3つ の強み

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