書き方・テンプレート半導体プロセスエンジニアの職務経歴書
半導体エンジニア(プロセスエンジニア)の職務経歴書の書き方や、書く上でのポイント・注意点を解説します。半導体業界の最新動向や採用事情に精通したキャリアアドバイザーからのコメントも掲載中。
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半導体エンジニアの職務経歴書テンプレート
職 務 経 歴 書
20XX年XX月XX日現在 氏名 転職 一郎
【職務要約】 大学卒業後、総合電機メーカーのデバイス開発部に配属となり、ドライエッチング担当としてプロセス技術開発や条件出し、歩留改善、設備導入、不良発生の原因調査等に携わってきました。20XX年には量産工場移管のため中国にXカ月滞在し、現地メンバーとコストカットに向けた意見交換や技術連携を行いました。
※どんな製品のどんな製造プロセスに関わり、その中で具体的にどんな職務内容(分析機器を用いた評価経験、シミュレーションなど)を担ってきたのか記載お願いします。その他海外工場などの対応経験をお持ちであればそちらも記載してください。
【活かせる経験・知識・技術】 ・ドライエッチング プロセス技術や装置に関する知識 ・半導体物理学、物性物理学の知識 ・新規生産ラインおよび設備立ち上げ~量産稼働経験 ・SEM・EDX分析による良品解析、不良解析
※化学(材料)の知見などを含め、アピールしてください。分析機器などの使用経験をお持ちであれば、使用した機器の正式名称にて記載してください(学生時代に使用された経験でも構いません)。
【職務経歴】 20XX年XX月~現在 ▲▲株式会社 事業内容:家電、デバイス等の製造・販売 資本金:XX億XX百万円 売上高:XX億XX百万 従業員数:XX00名(単体)
期間 | 業務内容 |
20XX年XX月 ~現在 | デバイス開発部 プロセス技術課 ※課長 以下XX名 役職:一般 [主な業務] ・前工程ドライエッチングプロセス開発 ●●における●●のエッチング工程に対し、●●の立場で●●及び●●と関わりながら●●を実施 ・加工条件出し ウエハの●●加工における●●を●●という●●の立場で●●及び●●と関わりながら●●を実施 ・装置メーカー選定/条件試験 デバイスメーカーの立場として、国内外の装置メーカーと装置の開発検討含め、英語を用いて対応 ・新規設備導入 ・量産工場移管(中国工場長期出張 Xカ月) ・新規ライン検討業務(レイアウト検討、予算検討) ・不良解析、歩留改善 ・製造/設備コスト削減 [担当デバイス] ・NAND型フラッシュメモリ [活用ツール] ・Spotfire ・断面SEM ・EDX(エネルギー分散型蛍光X線分析装置) [主な実績] ・20XX年度 装置メーカー2社(X社、Y社)との協働により加工条件見直し 歩留り改善目標XX%に対しXX%を達成 ・生産ライン立ち上げ時、製品管理のモニター項目を比較の上、課題を抽出した結果、不良発生の早期抑制案件の導入を実現 |
※「主な業務」はできる限り詳細にご記載ください。箇条書きだけではなく、文章で補足説明をすると、より経験の内容やレベル感が伝わりやすくなります。プロセス開発による成果については具体的な数値評価や社内外の表彰、特許など客観的に伝わる成果を記載するように心がけてください。
【保有資格・スキル】 ・普通自動車第一種運転免許 ・パソコンスキル:Word、Excel、PowerPoint
【語学】 英語 TOEICスコア 680点(20XX年XX月) 実務経験:文書読解、メール交換、仕様書読解、中国出張時エンジニア同士の技術的なやりとり
※より高度なビジネスレベルの英語を身につけるべく、Web英会話講座を継続して受講しています。
※使用頻度や使用場面などを詳細に記載してください。勉強中の方はその旨も記載してください。
【自己PR】
■生産ライン立ち上げ~量産までの経験 生産ライン立ち上げ~量産までの一連の業務を経験することで、多角的な視点からプロセスを分析し、歩留改善やコストカットにつなげることができます。20XX年には装置メーカー2社(X社、Y社)との協働により加工条件を見直し、歩留り改善目標XX%に対しXX%を達成しました。
■研究に偏重しないビジネス感覚・コミュニケーションスキル
先進性や精度の高いプロセス開発を目指す一方で、納期や大量生産を前提として日々の業務の落とし込みを行っております。また、所属の課内では比較的早い年次で、装置メーカーとの商談や海外工場での立ち上げ作業など、ラボ内に留まらない折衝の場を多く任せて頂きました。事業会社の1エンジニアとして、ビジネス感覚やコミュニケーションスキルを有していることが強みと考えております。
※半導体に関わる大学院などでの研究内容も記載頂いて構いません。業務効率化やコストカットに向けた取り組み、社外(担当顧客や装置メーカー)とのやり取りで苦労された点などを具体的に記載してみてください。
以上

半導体エンジニアが職務経歴書を書く上での心得
とにかく大事なのは経験・スキルをくわしく・具体的に伝えること
半導体エンジニア(プロセスエンジニア)が職務経歴書を書く上で何よりも大切なのは、下記の要素をはじめとする、自身の経験・スキルをできる限りくわしく・具体的に伝えることです。

半導体は、デバイスメーカーであれば主力製品、装置メーカーであれば強みとする工程が企業によって大きく異なるため、応募先と自身の共通点を早く見つけてもらうには「半導体のプロセス開発(前工程)」といった曖昧な書き方はNG。
「成膜やエッチング(ドライ/ウェット)など、どのプロセスのどんな装置を扱っていたのか」「"4H N型 SiCウェハ"など、どんなウェハを扱っていたのか」まで細かく書くことではじめて、採用担当者に「自社でも活かせる経験・知識がありそう」と判断してもらえるのです。

では一体、何をどのように書いていけばいいのか、項目ごとにくわしく解説していきます。
1)職務要約
重要度:★★★★★

求人の募集要項にフィットする内容を盛り込む
半導体エンジニア(プロセスエンジニア)の場合、「職務要約」欄は合否を分ける最重要項目といっても過言ではありません。
成長産業であり技術革新のスピードも早い半導体業界において、採用担当者は多忙を極めており、職務経歴書をじっくり読み込んでいる余裕がないのが正直なところ。
少しでもマッチング作業を効率化しようと、まずは「職務要約」欄と後述の「活かせる経験・知識・技術」欄をチェックし、応募者のおおよその経験・スキルの内容やレベル感、自社との親和性を判断しています。

よって、この2つの項目から「おおよそ採用要件を満たしていそう」と感じてもらえない限り、その先の「職務経歴」欄は読まれないまま不採用が決まってしまうケースも少なくありません。
そのため「職務要約」欄は、求人の募集要項にある「必須条件」や「職務内容」に通ずる経験・スキルを中心に、そこに記載されている「CVD」「◯◯装置の立ち上げ」などのキーワードも盛り込みつつ、5行前後でまとめましょう。
▼「職務要約」欄についてさらにくわしく
2)活かせる経験・知識・技術
重要度:★★★★★

応募先にフィットする経験・スキルを記載する
前述の通り、半導体エンジニア(プロセスエンジニア)にとって「活かせる経験・知識・技術」欄は、「職務要約」欄と同様にかなり重要度が高い項目。
この欄で自身の強み(コアとなる具体的な知識・技術)をしっかりと明示できないと、この時点で"足切り"されてしまうケースも少なくありません。
そのため「活かせる経験・知識・技術」欄には「職務要約」欄と同じく、応募先の必須条件や職務内容に通ずるものを中心に、自身の経験・スキルを端的に箇条書きにしてまとめましょう。
〈「活かせる経験・知識・技術」欄の記入例〉
- SiCにおけるプロセス開発経験(エッチング、成膜、CMP)
- プロセス開発における設備導入~立ち上げ経験
- JMPによるプロセスデータ解析の経験
…など
キャリア アドバイザー
「活かせる経験・知識・技術」欄は冒頭に持ってきてもOK
職務経歴書のレイアウトには厳密なルールがあるわけではないので、「活かせる経験・知識・技術」欄を「職務要約」欄の直後に持ってきて、早めに見てもらえるようにするのもおすすめ。
前述の通り、半導体業界の採用担当者は忙しく、後述の「職務経歴」欄をじっくり読み込んでもらえないケースも少なくありません。
そのため「職務要約」欄と「活かせる経験・知識・技術」欄をセットにして職務経歴書の冒頭に置くことで、手っ取り早く自身の経験・スキルを伝えることができます。
また、読み手にとってわかりやすいレイアウトにできていること自体が、地頭の良さや論理的思考能力の高さのアピールにもつながるでしょう。
▼「活かせる経験・知識・技術」欄についてさらにくわしく
3)職務経歴
重要度:★★★★・
![【職務経歴】20XX年XX月~現在/▲▲株式会社/事業内容:家電、デバイス等の製造・販売/資本金:XX億XX百万円//売上高:XX億XX百万//従業員数:XX00名(単体) <期間/業務内容>20XX年XX月~現在/デバイス開発部/プロセス技術課※課長/以下XX名/役職:一般[主な業務]・前工程ドライエッチングプロセス開発●●における●●のエッチング工程に対し、●●の立場で●●及び●●と関わりながら●●を実施・加工条件出し/ウエハの●●加工における●●を●●という●●の立場で●●及び●●と関わりながら●●を実施・装置メーカー選定/条件試験/デバイスメーカーの立場として、国内外の装置メーカーと装置の開発検討含め、英語を用いて対応/・新規設備導入/・量産工場移管(中国工場長期出張/Xカ月)/・新規ライン検討業務(レイアウト検討、予算検討)/・不良解析、歩留改善/・製造/設備コスト削減[担当デバイス]・NAND型フラッシュメモリ[活用ツール]・Spotfire/・断面SEM/・EDX(エネルギー分散型蛍光X線分析装置)[主な実績]・20XX年度/装置メーカー2社(X社、Y社)との協働により加工条件見直し歩留り改善目標XX%に対しXX%を達成/・生産ライン立ち上げ時、製品管理のモニター項目を比較の上、課題を抽出した結果、不良発生の早期抑制案件の導入を実現](https://img-cms.and-pro.jp/assets/d7e0a3e649794856b0e7598cae6ab155/a9c4cce85261442ab664d92b3f45888a/semiconductor_engineer_04-1.png)
担当の製品・プロセスをくわしく記載する
半導体エンジニア(プロセスエンジニア)の職務経歴書においては、「職務経歴」欄は経験・スキルの"エビデンス"となる項目であり、非常に重要です。
というのも、採用担当者は「職務要約」欄と「活かせる経験・知識・技術」欄から「自社との親和性がありそう」とざっくり判断できたら、次にこの「職務経歴」欄を見て経験・スキルの内容やレベル感を詳細に確認することで、その判断に間違いがないかを精査しているからです。

そのため「職務経歴」欄は、できる限りくわしく・具体的に書くのがポイント。主に下記の項目を部署や役割(役職)、担当製品ごとに区切って記入しましょう。

とりわけ「業務内容」は、自身の経験の幅を伝えられる大切な項目。例えばデバイスメーカーのプロセスエンジニアであれば、メインの業務となるプロセス開発だけではなく、歩留まり率や生産コストの改善、装置の選定や設備の導入・立ち上げといった周辺業務まであわせて記載することで、高評価につながります。
「周囲との関わり方」を書くのもおすすめ
余裕があれば一言の箇条書きだけで終わらせず、補足説明として「社内外のどのような職種と、どのように関わっていたのか」まで併記しておくのもおすすめ。より業務範囲・役割やそのレベル感が伝わりやすくなります。
例えば「量産対応」の場合、「ドライエッチング装置にて、工場側の設備技術、現場オペレーター、設備メーカーと立ち上げ業務を実施。開発側の担当者の立場として取りまとめを担当」などと記載するイメージです。
キャリア アドバイザー
「実績・取り組み」には業務改善・課題解決の経験を記載
半導体エンジニア(プロセスエンジニア)には、既存の製品やレシピなどを常に改善していく姿勢が求められるため、「職務経歴」欄の「実績・取り組み」には例えば、
- 目視検査に代わってウェハ自動外観検査装置の導入を提案から実施し、工数を削減
- 膜質(抵抗、膜応力など)の変動メカニズムを資料にまとめ、デバイス設計の制約を緩和する知見を蓄積
といった業務改善・課題解決に向けた工夫などを盛り込むと、適性が伝わりおすすめです。
くわしいエピソードは後述の「自己PR」欄に記載するのでも構いませんが、そこまで丁寧に見てくれる採用担当者は多くはありません。
そのため、「何を目的に、どんなことをして、どうなったのか」という要点だけは「実績・取り組み」にも端的にまとめておくことが大切です。
▼「職務経歴」欄についてさらにくわしく
4)保有資格・スキル/語学
重要度:★・・・・

語学力があればプラスアルファのアピールに
半導体エンジニア(プロセスエンジニア)は実務経験が重視されるため、書いておくと有利になる資格は特にありません。
ただし、仕様書が英語で記述されていたり、海外メーカーとのやり取りが発生したりすることもあるため、TOEICなどの語学力を証明する資格・試験があれば加点要素になります。
その際は「英語ネイティブとの会議が可能」など、「実務においてどれくらいのレベル感で使えるのか」についても併記しておくのがポイントです。
5)自己PR
重要度:★★・・・

半導体エンジニア(プロセスエンジニア)の場合、採用担当者は「職務要約」欄や「活かせる経験・知識・技術」欄などから8割方合否を判断しているため、「自己PR」欄の重要度はそこまで高くありません。
ただ、課題解決やトラブル対応をした経験や、製造プロセスやレシピをゼロから考えた経験などがあれば、プラスアルファのアピールになります。
「職務経歴」欄の「実績・取り組み」に書いた内容をふくらませるイメージで、「どんな状況で(どんな課題があり)、何をしてどうなったのか」について、順序立てて説明しましょう。
〈エピソードの例〉
- (課題)FETの配線がショート故障を引き起こしていた
- →(行動)成膜工程の膜厚のバラつきに原因があると考え、膜品質管理を見直した
- →(結果)故障発生率を大幅に低減させることができた
▼「自己PR」欄についてさらにくわしく
半導体エンジニアの志望動機もあわせてチェック
職務経歴書が完成したら、悩みがちな志望動機の書き方や例文についても、下記の記事から確認しておくのがおすすめです。
半導体エンジニア(プロセスエンジニア)の転職において、そもそも志望動機が問われるケースは多くはなく、合否に大きく影響することも考えにくいでしょう。
ただし、いざ聞かれて回答に詰まってしまうと心象がよくないため、書類作成のタイミングで準備しておくと安心です。
履歴書の作成も忘れずに!
転職の書類選考では、職務経歴書とあわせて履歴書の提出を求められることが一般的。
まだ着手していない場合、まずは下記の記事から自分に合ったテンプレートをダウンロードしましょう。
ダウンロードできたら、下記の記事から書き方・ポイントを確認し、早速作り始めてみましょう。











