
「止める」から「自動運転の主役」へ。世界唯一のブレーキシステムサプライヤーが挑む“CASEのど真ん中”
世界で唯一、ブレーキを構成する全ての製品群を企画から生産までを一貫して担う「ブレーキシステムサプライヤー」株式会社アドヴィックス。自動運転や電動化に伴う「自動車の大変革期」において、トヨタグループの一次サプライヤー(Tier1)としてモビリティの未来を牽引しています。 クルマの未来を担うブレーキの面白さや、エンジニアが大きく成長できる環境、そしてひとりひとりに徹底して向き合う評価制度の裏側について、同社の人事総務部長の諏訪さんに伺いました。
諏訪 安彦(すわ・やすひこ)さん
人事総務部長
前職は人材開発コンサルティング会社の営業として、企業向けの研修提供や人事制度コンサルティングに従事。2007年に中途入社し、翌2008年に始まった同社初のプロパー新卒採用の立ち上げに伴い、新卒教育の礎を作った。現在は人事総務部長として、キャリア採用や独自の評価制度の運用を牽引している。
最後に車を止めるのは「メカ」。CASEのど真ん中を担う面白さ
Q:「唯一のブレーキシステムサプライヤー」としての、他社にはない魅力を伺えますか
諏訪さん:現在の自動車業界は、MaaS(Mobility as a Service)やSDV(Software Defined Vehicle)に代表されるように、ソフトウェアが車の価値を決める時代へと大きく変化しています。しかし、どれだけソフトウェア化が進んだとしても、最終的に車を物理的に止めるのは「メカ(ハード)」の技術です。
もちろんこの大変革の時代においては、ブレーキも車全体を高度にコントロールする「システム制御」の領域へと大きく進化してきています。当社は確かな安全性を支える「メカ」と、高度に車を制御する「ソフト」、そして両者を繋ぐ「エレキ」――の3領域で総合的な開発環境があり、企画から開発、生産まで一気通貫で担っていることが特徴です。

私たちの社会的意義は非常にシンプル。「守る」ことです。自動車は生活を豊かにする一方で、人の人生を壊しうるものでもあります。どれだけモビリティが進化しても、その安全を最後に支えるのはブレーキシステムです。CASE時代の中心技術の一つでありながら、人の命を守る。その両方に携われることが、当社ならではの大きな魅力だと考えています。
――候補者の方には「ブレーキ=伝統的な機械部品」というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか
諏訪さん:確かに、「ブレーキペダルを踏むと油圧が伝わり、車輪を挟んで摩擦で車を止める装置」というイメージを持たれている方は多いと思います。ただ、そのイメージは大きく変わりつつあります。例えば電動車では、走行時の運動エネルギーを熱として放出するのではなく、電気エネルギーとして最大限回収する「回生協調ブレーキ」が重要な役割を担っています。この技術の性能は、車両の航続距離にも大きく影響します。
そして何より、ブレーキは自動運転システムを支えるコア技術の一つです。
現在の車は「走る・曲がる・止まる」という基本動作をシステム全体で統合制御しています。その中でブレーキは、安全かつ正確に車両をコントロールするための極めて重要な役割を担っており、今後のモビリティの進化に欠かせない存在です。
正直に申し上げると、これまでのブレーキは「縁の下の力持ち」のような存在でした。しかし今は、自動運転や電動化といった次世代テクノロジー(CASE)の中核を支える技術の一つとして、ブレーキの存在感が大きく高まっています。当社は、そのブレーキシステムをメカ・エレキ・ソフトの領域を横断して、企画から生産まで一気通貫で手掛けています。中途で入社される方には、このワクワクするようなフィールドと、当社ならではの環境のなかで、自身の技術や経験を存分に発揮していただきたいですね。

誰かのために自ら考え、行動するカルチャー
Q:そうした最先端のフィールドで、どんな人物像を求めていますか
諏訪さん:社長の秋山は、「考動志(こうどうし)」という言葉にその答えを込めています。「考えて動く」という意味の「考動」に、「志」を組み合わせた造語で、「ビジョン2035」にも掲げています。なかでも特に重視しているのは、「志」の部分です。
先行きが見えにくい時代だからこそ、お客様やその先のユーザーを思い描きながら、「これから何が求められるのか」「自分に何ができるのか」を自ら考え、行動できる人と一緒に働きたいと思っています。
そして、それは当社が昔から大切にしてきたカルチャーとも重なります。当社には、「やりたいこと」や「こうしたい」という意志を持った人に仕事を任せる風土があります。
もちろん、実現に向けてはさまざまな意見が交わされます。しかし、それは挑戦そのものを否定するためではありません。「どうすれば実現できるか」をみんなで真剣に考え、支え合う文化があります。
誰かのためを思い、自ら考えて行動する。そんな志を持った方に、ぜひ仲間になっていただきたいですね。

愛知県刈谷市のアドヴィックス本社社屋
Q:そうした「任せる文化」や「みんなでサポートする文化」は、どのような背景から生まれたのでしょうか
諏訪さん:当社の成り立ちが大きく関係しています。アドヴィックスは2001年に、アイシン・デンソー・住友電工・トヨタ自動車の合弁会社としてスタートしました。
設立当初は社員全員が出向者で、決して人も潤沢な状況ではありませんでした。一方で事業は急速に拡大していったため、「意志・やる気のある人に任せ、周囲が支える」という文化が自然と育まれていったのです。
その考え方は、今も当社の根底にある価値観だと思います。
実は、2008年に新卒採用が始まった際、私は教育の仕組みづくりを担当しました。その時に考えたのが、「アドヴィックスで働くうえで最も大切な力は何か」ということです。
しかし、この問いに答えを出すのは簡単ではありませんでした。当社は設立以来、常に新しい挑戦を続けてきた会社です。「こうすれば正解」という前例を持つ人がいるわけでもなく、ひとりひとりが自ら道を切り拓いていく必要がありました。
そこで生まれたのが、「自成力(自ら成長し、自ら事を成す力)」という考え方です。
自ら考え、仲間を巻き込み、新しい価値を生み出していく。そのためには、自分自身も成長し続けなければなりません。私たちは新卒教育においても、この自成力の重要性を伝え続けてきました。自ら考え、志を持って行動し、周囲と力を合わせながら新しい価値を創り出していく。そうした人が活躍できるのが、アドヴィックスという会社だと思います。
Q:先ほど伺った「考動志(自ら考え、志を持って動く)」とも、本質的にリンクしていますね
諏訪さん:はい、その通りです。当時、その教育を受けた最初のプロパー新卒社員たちは、まさにそのカルチャーを体現して成長し、今では管理職として次世代の若手を育てたり、技術戦略や組織方針をまとめ、役員に向けてガンガンプレゼンを行ったりしています。
もちろん、「自成力」という言葉だけが彼らを成長させたわけではありません。しかし、自ら考え、周囲を巻き込みながら挑戦する姿勢は確実に受け継がれてきたと感じています。
私自身、その変化を長く見てきた一人として、こうした価値観が世代を超えて受け継がれていることを、とても嬉しく感じています。
そして、そうした先輩たちの背中を見て育った次の世代もまた、自ら考え、行動する。その積み重ねによって、「考動志」や「自成力」に通じるカルチャーが、会社全体へさらに根付いていくことを期待しています。

「困ってないか声を拾う」。独自のオンボーディング
Q:中途入社後のオンボーディングについて教えてください。どのように職場へ馴染んでいくのでしょうか
諏訪さん:中途入社の方には即戦力としての期待がありますし、自ら考えて行動するカルチャーも根付いているため、いわゆる「手取り足取り」の環境ではありません。多くの方は入社後すぐに職場へ入り、OJTを中心に業務をキャッチアップしていきます。
ただ、一方で不安や孤独感を抱えたままでは、本来の力を発揮することはできません。そのため私たちは、入社時に「困ったことがあれば遠慮なく手を挙げてほしい」と伝えたうえで、入社3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月のタイミングで全員にアンケートを実施しています。気になる回答があれば、こちらから声をかけて状況を確認するようにしています。
また、アドヴィックスは設立当初からさまざまな会社の人材が集まってできた会社です。だからこそ、「途中から加わった人を受け入れること」が当たり前の文化として根付いており、多くの職場でOJTの進め方もしっかりと整備されています。
さらに、当社には立場にとらわれず意見を交わせる風土があります。中途か新卒か、若手かベテランかは関係ありません。言っていることに筋が通っていれば、社長を含めて上司や経営層もきちんと耳を傾け、向き合ってくれます。
「実力と意欲があれば仕事を任せる」という言葉を掲げる会社は多いと思いますが、入社された方からは「本当に任せてもらえるんですね」と驚かれることも少なくありません。
一気通貫だからこその「二刀流」と、時間をかけて人を見る評価制度
Q:エンジニアにとって、御社で働く成長環境や魅力はどこにあるのでしょうか
諏訪さん:大きく2つあると思っています。
1つ目は、「一気通貫」の開発環境だからこそ、「二刀流」のエンジニアへ成長できることです。
例えばメカのエンジニアがエレキやソフトの世界を知り、逆にソフトのエンジニアがメカの知見を深める。そうして専門性を掛け合わせていくことで、システム全体を見渡しながら価値を生み出せるエンジニアへと成長できます。
単一の専門性を磨くだけでなく、新たな武器を身につけて活躍の幅を広げられる。これはメカ・エレキ・ソフトを一体で開発する当社ならではの魅力だと思います。

アドヴィックス社が開発したブレーキ関連製品
そして2つ目は、人を徹底的に見て育てる評価の仕組みです。
実は当社では、昇格試験における一発勝負の試験要素の多くを廃止し、現在は合議制を中心とした評価を行っています。例えば管理職が十数名集まり、評価対象者ひとりひとりについて議論します。スムーズに進んでも4〜5時間かかるほどです。
そこで話し合うのは評価だけではありません。「本人は将来どうなりたいのか」「次の成長のためにどのような経験を積むべきか」といったところまで踏み込み、時間をかけて人を見ることを大切にしています。もちろん、中途入社の方も同じ基準で評価しています。
また、人事評価とは別に年1回のキャリア面談を実施しています。そこでは日々の業務から少し離れ、これまでの経験を振り返りながら、これからどのようなキャリアを描きたいのかについて対話します。
社内公募や部署間ローテーション制度に加え、将来のグローバルな活躍を見据えた「海外人材プール」も設け、計画的な育成やキャリア支援との連携を試みています。社員が自ら手を挙げ、主体的にキャリアを切り拓いていける環境づくりを、ここ数年でさらに強化してきました。
そして私は、こうした挑戦や成長は、充実した私生活やご家族の支えがあってこそ実現できるものだと考えています。そのため当社では、ワークライフバランスの向上や育児支援にも力を入れており、高い水準で子育て支援に取り組む企業として、国から「プラチナくるみん」の認定も受けています。
新しいことに挑戦しながら成長できること。そしてライフステージが変わっても安心して働き続けられること。その両方を実現できる環境が、当社の大きな魅力だと思っています。
「誰かのため」の志を持つ人と、未来の車づくりを
Q:最後に、この記事を読んでいる候補者の方へメッセージをお願いします
諏訪さん:ありがたいことに、「トヨタグループだから」「ブレーキはなくならないから」といった理由で、当社の安定性に魅力を感じていただくことがあります。
もちろん、その点は当社の強みの一つです。しかし私たち自身は、常に強い危機感を持っています。確かに車からブレーキがなくなることはありません。ですが、それが「アドヴィックスの製品でなければならない」という保証もまた、どこにもないからです。
だからこそ私たちが求めているのは、「安定」に期待して来る人ではなく、この環境を活かして「挑戦」したい人です。
「世界一社会やお客様に選ばれるリーディングカンパニーでありたい」「世界から交通事故をなくしたい」 「新しいモビリティの未来をつくりたい」
そんな志を持った方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。
当社のエンジニアがよく口にするのは、自分が関わった製品が実際に街を走り、人々の安全を支えていることを実感できる喜びです。家族や子どもに「あのクルマに使われている技術は、自分が携わったものなんだ」と胸を張って話せる。これは、この仕事ならではの醍醐味だと思います。
私たちの使命は、世界中から交通事故をなくし、世の中に移動の感動を提供することです。
そのために必要なのは、特別な経歴や経験だけではありません。「誰かのために役立ちたい」「より良い未来をつくりたい」という志こそが重要です。
小さくても構いません。そんな想いを持っている方にとって、アドヴィックスは大きな挑戦ができるフィールドです。
ぜひ私たちと一緒に、未来のクルマづくりに挑みませんか。

文・撮影:酒井 悠一(アンドプロ編集部)
株式会社アドヴィックス 関連情報
アドヴィックスの「育成」と「働き方」
時間をかけて人を見る評価・キャリア支援
- 昇格評価:一発勝負の筆記試験の多くを廃止し、管理職十数名による合議制が中心(中途入社者も同じ基準)
- キャリア面談:人事評価とは別に年1回実施
- キャリア支援:社内公募・部署間ローテーション制度・海外人材プール
入社後のフォローと子育て支援
- オンボーディング:中途入社後3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月時に全員へアンケートを実施
- 子育て支援:「プラチナくるみん」認定
キャリア採用入社者インタビューはこちら
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